世の中には自分の勤めている会社を訴える人もいますが、別世界のことのようです。本当に会社を訴えたことがある、という人は私の周りでは聞いたことがありません。
 それよりは、会社が元従業員を訴えるケースの方が聞きます。会社を訴えた従業員を名誉毀損で逆告訴できるそうで、こうなると、金と力のある企業に一個人が対抗するには、後ろに支援団体がいるとか敏腕弁護士がついているとかでないと難しそうです。
 
 セクハラを訴えると
「女性はなるべく雇用しない方がよい」
と他の人に迷惑がかかるのではないかとか、労災ですら、証人が必要と聞くと言い出せるものではありません。
 会社の同僚というのは、その場では
「それひどいよね。ちゃんと言わないと駄目だよ」
と言っていても、いざとなると必殺掌返しで私に石をぶつける側になることを、経験上知っていました。私のために会社に不利な証言をしてくれるとは、とても思えませんでした。
 
 会社に雇用されて働くということは、サラリーをある程度保障していただく代わりに治外法権的理不尽にも耐えなければならないということです。労働基準法通りのことを要求できるかどうかは会社によります。セクハラも労災も、泣き寝入りな時は泣き寝入りです。
 いくら法律があっても、会社を訴えることができる人はごく一部です。たまに、大企業で集団で訴えた人たちがそのまま働いていますが、すごい精神力です。人数がある程度いるから、励ましあうこともできるのでしょう。
 転職することになって、前の会社を訴えたと知られたら、そんな従業員はどこも雇ってくれません。こういうことがプライバシーとしてどこまで保護されるかわかりませんが、在籍確認されたら終わりです。
 
 このことは法律に詳しい人にも聞いたことがありますがよくわかりませんでした。返ってくる答は
「自分自身にやましいことがなければ堂々としているべき」
といういかにもな定説です。現実には通りません。
 訴える人というのはマスコミの報道で見ると立派な人ですが、身近にいたら少し引いてしまうような気がします。それが日本の現実です。歴史を作っていくのはそういう革命家的な人たちなんでしょうけど、私は前世で一揆に加わったとしても、どどっと走っていく途中置いていかれた末、石にけつまづいて転んで真っ先に殺されていそうです。
 
 
 9月18日の記事。テレビ番組だとえらく簡単なことで「訴えてやる」となりますが、実際は難しそうです。