マイコとイズミはキャッシャーで料金を支払った。サービス料だ席料だと何だかんだで1万円近くかかった。カウンターで1杯しか飲んでいないのに。
 高いが確かに楽しかった。上等なスーツのいい男が自分の関心を買おうと一生懸命サービスしてくれるのは悪い気はしない。と、また服にしか目の行かない自分の悪いくせだ。
「また来てよ」
キョウジはイズミにも名刺を渡していた。一生懸命サービスしてくれたのは仕事だからだ。あまりお金を持っていないとわかっているマイコに優しくしてくれたのは、自分でも言っていたように新人で指名客がいないからだ。お金持ちの指名がつけば自分など見向きもしなくなるだろう。それはじんわりと悲しい。ハヤミもそんな風なのだろうか。
 
 店を出ると、イズミが
「マイコ、駅まで全力疾走」
とつぶやき、突然走り出した。
「ちょっと待ってよ」
マイコも走ろうとすると、背後から爆発音がした。
 振り向くと、先ほどまでいたホストクラブのドアが吹き飛び、煙が出ていた。通行人が立ち止まり、あたりはザワザワした。
(ハヤミさん)
マイコは店内に戻ろうとして、誰かに腕をつかまれた。
 
 身長180cmはあろうかという長身の男が、怖い顔をしている。
「今ここから出てきただろう」
と警察手帳らしきものを見せた。
「話を聞かせてもらおうか」
もしかして疑われているのか。重要参考人とか。
(どどどどうしよう)
警察沙汰になったと知ったら、たとえ釈放になっても田舎の両親が嘆き悲しむに違いない。その前に会社に知られたら、まだ試用期間中なので解雇されかねない。妄想する間もなく、マイコは180cm男に腕を引っ張られて行った。
 
 
 疲れがたまったら妄想に限るな。
 例によって、料金システムは適当なので、大いに間違っていても指摘しないで下さい。
 
 
 6月28日の記事。また昨日と順番入れ替えてしまいました。Yahoo版も妄想ホストクラブだったから。