日課のアジサイの水やりが終わると
「マイちゃん、コピー頼む、両面ホチキス留め30部、3時まで」
と、課長の男にしては高めの声が響いた。
(名前で呼ばないで欲しいな。キモイから)
心中とは裏腹に、明るい声で返事をした。
マイコは地方の大学を卒業後、就職のため上京、2ヶ月が過ぎようとしていた。仕事は単調だが、徐々に慣れてもきた。地元就職をあきらめたのは、適当な就職口がなかったというのもあるが、学生時代からつき合っていた1学年上のノボルがこちらで働いていたからだった。しかし向こうが忙しいらしく、あまり会えない。
(初めて会った時はかっこよかったんだけど。あれはよく考えたらコートがかっこよかったんだわ)
冬の日、高級コートでノボルが教室に入ってきた時のことを思い出した。
「マイちゃん、コピー頼む、両面ホチキス留め30部、3時まで」
と、課長の男にしては高めの声が響いた。
(名前で呼ばないで欲しいな。キモイから)
心中とは裏腹に、明るい声で返事をした。
マイコは地方の大学を卒業後、就職のため上京、2ヶ月が過ぎようとしていた。仕事は単調だが、徐々に慣れてもきた。地元就職をあきらめたのは、適当な就職口がなかったというのもあるが、学生時代からつき合っていた1学年上のノボルがこちらで働いていたからだった。しかし向こうが忙しいらしく、あまり会えない。
(初めて会った時はかっこよかったんだけど。あれはよく考えたらコートがかっこよかったんだわ)
冬の日、高級コートでノボルが教室に入ってきた時のことを思い出した。
コピー室でコピーをとっていると、ふんわりといい匂いがした。
(ハヤミさんだ)
隣の部署のハヤミという先輩はいつもいい匂いがした。香水か整髪料かわからないが、とても雰囲気に合っていて自然だった。
「急ぎでしたら割りこみにします」
書類をもって入ってきたハヤミを気づかってそう言った。
「いいよ。急がないから」
ハヤミは派遣社員だった。仕事はできるので何度か正社員への誘いはあったが、定時に帰りたいからという理由で辞退している。ナントカというテレビタレントに似ていると、女子社員の間では人気があった。
(謎の男って感じ)
大学の時はひとつ上くらいでも十分大人に見えたが、社会人になってみるとノボルは子供っぽく見えた。
(ハヤミさんだ)
隣の部署のハヤミという先輩はいつもいい匂いがした。香水か整髪料かわからないが、とても雰囲気に合っていて自然だった。
「急ぎでしたら割りこみにします」
書類をもって入ってきたハヤミを気づかってそう言った。
「いいよ。急がないから」
ハヤミは派遣社員だった。仕事はできるので何度か正社員への誘いはあったが、定時に帰りたいからという理由で辞退している。ナントカというテレビタレントに似ていると、女子社員の間では人気があった。
(謎の男って感じ)
大学の時はひとつ上くらいでも十分大人に見えたが、社会人になってみるとノボルは子供っぽく見えた。
金曜日、マイコは退社後同郷の友人と待ち合わせのためターミナル駅に向かった。普段は降りないその駅で、ハヤミの姿を見かけた。
(乗り換えかしら)
好奇心から後をつけた。ハヤミは駅のロッカーから大きめのバッグを取り出すと、足早に外に出た。
マイコは時間を気にしながら後を追った。定時退社の男の謎がつかめるかも知れない。しばらく歩くとやがて裏通りに入り、何やら電飾看板のついた派手な建物の中へ消えて行った。
(キャバクラ?)
うろうろしていると、
「寄ってく?」
と後ろから男性が声をかけてきた。マイコと同じ年齢くらいだが、うっすら化粧しているように見える。
「とっ、友達と待ち合わせで、駄目です」
「ホストクラブの前で待ち合わせなんだ」
・・・ほすとくらぶ。
「ここってそうなんですか」
「そうだよ。知らないでのぞいていたの。今度おいでよ。僕を指名してね」
男はマイコに名刺を渡した。
「ホストクラブって高いんじゃないんですか」
「そんなことないよ。高いもの頼まなければ」
じゃあね、と手を振って男は店内に入って行った。
(乗り換えかしら)
好奇心から後をつけた。ハヤミは駅のロッカーから大きめのバッグを取り出すと、足早に外に出た。
マイコは時間を気にしながら後を追った。定時退社の男の謎がつかめるかも知れない。しばらく歩くとやがて裏通りに入り、何やら電飾看板のついた派手な建物の中へ消えて行った。
(キャバクラ?)
うろうろしていると、
「寄ってく?」
と後ろから男性が声をかけてきた。マイコと同じ年齢くらいだが、うっすら化粧しているように見える。
「とっ、友達と待ち合わせで、駄目です」
「ホストクラブの前で待ち合わせなんだ」
・・・ほすとくらぶ。
「ここってそうなんですか」
「そうだよ。知らないでのぞいていたの。今度おいでよ。僕を指名してね」
男はマイコに名刺を渡した。
「ホストクラブって高いんじゃないんですか」
「そんなことないよ。高いもの頼まなければ」
じゃあね、と手を振って男は店内に入って行った。
当方、ホストクラブには行ったことも見たこともありませんので描写があり得ないくらい間違っていると考えられますが、
「間違っていますよ」
と指摘しないで下さい。全て妄想であり、実在の人物、団体とは無関係です。
例によって次回は決まっていません。どれがいいですか。
1 マイコはホストに食い物にされ、堕落の道へ
2 マイコが複数のイケメンに奪い合われる
3 トオルがノボルからコートを奪い返す話になる
「間違っていますよ」
と指摘しないで下さい。全て妄想であり、実在の人物、団体とは無関係です。
例によって次回は決まっていません。どれがいいですか。
1 マイコはホストに食い物にされ、堕落の道へ
2 マイコが複数のイケメンに奪い合われる
3 トオルがノボルからコートを奪い返す話になる
5月20日の記事。もう6話まで書きましたが、まだ1か2か3か決まっていません。登場人物は実在の人物と無関係ですが、全てモデルはいます。