トオルの携帯が鳴った。携帯に出るとアツコの大声が響いた。
「今どこにいるの」
「空港の近くまで来ている」
「これからそっちへパトカーが行くから、指示に従って」
間もなく、パトカーに先導された赤のポルシェが空港から猛スピードで向かった。
 
 黄色のカウンタックから、トオルとミユキが降りた。
「私、刑務所に入るのかしら」
「そこまでの罪にはならないと思うよ」
「また会えるの」
何の保証もない言葉を、ミユキはつぶやく。
「次のクリスマスイブには、君が働いていたコンビニで、クリスマスケーキを買って会いに行くよ」
ロマンチスト。きっと少女漫画の読みすぎだ。でもその時が来たら、期待してしまうだろう。
 
 カウンタックの前に赤のポルシェが止まった。リナが進み出た。
「スギウラミユキさんね」
「はい」
ミユキは両手を差し出した。
「安心しなさい、参考人として事情聴取はさせてしまうけど、逮捕はしません。あなたのボスが随分かばっていらっしゃったわ。あなたは何も悪いことはしていないと」
「社長が」
ミユキはうながされてパトカーに乗った。最後に1回だけ、トオルを振り返った。
 
 リナはカウンタックを見て、トオルに聞いた。
「これはあの人のなの」
「ああ」
「じゃあ証拠品としてこれも没収ね」
「そんな」
トオルは絶句した。夢にまで見たカウンタックを、このポルシェ女に奪われてしまうとは。
「先輩、先に行きます」
パトカーからトオルが声をかけた。トオルはノボルのコートに釘づけになった。
(あのコートは、まさか)
もしや、九州の某大学の学部長室に潜入した時に、居合わせた青年に奪われたチェスター・フィールドか。ポケットの中の拳銃を握り締めた。
 
 
 これで終わりです。誰が何と言おうとこれで終わりです。別な話の中でまた出すかも知れませんが。3万打記念に書き始めて5ヶ月、こんな設定穴だらけの妄想を読んで下さってありがとうございました。
 後は、この後ノボルが蜂の巣になるとか、次のクリスマスイブ、再会できるのかとか、いろいろご想像くださいませ。
 
 
 4月29日の記事。モデルのコンビニは不動産屋に乗っ取られて現存しないそうです。私の筆力のせいで蜂の巣にできず(誰を?)残念です。