ASを主人公としたミステリー小説「エデンの命題」 の中で、主人公の少年が年上の女に
「あなたが望むなら、私がずっと一緒にいるわよ。あなたにガールフレンドができるまで」
と迫られるくだりがあります。
「できなければ?」
「ずっと一緒にいるわ」
少年は安心します。
 
 これは普通なら(こんな場面が普通にあるとは思えませんが)
「あなたみたいに素敵な人なら、かわいいガールフレンドがたくさんできるわ。私のようなおばさん、あなたの方がいやになるわ」
というのではないかと推測します。
 私がもしこの少年で、信頼している人間にこんなこと言われたら、大人になった今でもパニクって泣き叫びます。それほど親しくない相手なら、悲しくて、がっかりして、
(この人と突っこんだ話はしないようにしよう)
と考えるに留まるかも知れませんが、それでも脳内では電流が行き場を失って暴走中です。
 
 私が、じゃない、少年が聞いたことに答えていないからです。
「ずっとガールフレンドができなかったらどうなるか」
をあらかじめ予定しておきたいのであって、ガールフレンドができるかどうかを聞いているのではありません。
「わからない」「答えられない」
の方が、愉快ではないにしてもまだましです。聞いたことに答えてくれない、全然別なことを言う、予定が立たない、の三重苦に目が回って、それまで順当に進んでいた脳内電流は、今書きながら想像しただけで暴走しそうです。
 
 一見無表情でも内実は大パニック、8歳モードに突入し、落ち着いて説明できるような心持も語彙能力もなくなります。
「質問の意図を説明すればいい」
と簡単に言われそうなんですが、そんな状態ではありません。
 私が今思いつく解決方法は、どんな相手も完全には信頼せず、距離を置くことです。この人は訳のわからないことを言って混乱させるかも知れないと、あらかじめ予測を立てておくことです。8歳モード突入は避けられないにしても、公共の場で泣き叫んで暴れだす事態は避けなければなりません。
 
 この年上の女性はASとの会話の仕方を心得ていると思われます。この小説は、ストーリーの派手さはありませんが、所々に主人公のASっぽい思考や行動が何の解説もなく現われます。知識のない状態で読むと、
「なぜ彼らがエデンの外の世界で生きられないか」
に気づかず通り過ぎてしまうほど、さりげなく。

 

 

 12月10日の記事。今日もYahooは重いですが、がんばってたどりつきました。この記事、後で読むと危ない人ぎみなので、苦しい言い訳をします。

 成人後はさすがに公共の場で泣き叫んだことはありませんが、怒りを抑えられないことはあります。言語能力が一時的に低下するのでうまくその怒りを伝えられません。自分が加害者となるシーンは描写が難しいです。隠すつもりはありませんが

「誰でも同じ」「みんな我慢している」

と言われがちだからです。ブログの初期に私が暴れた時もそうでした。その時は、発言者が自閉症のお子様をお持ちの方だったので、余計そんなことを言われるとは予想だにしませんでした。

 お子様が自閉症だから理解があるとは限らない、そんな風に書くとまた怒られそうなんですが、パニックを防ぐためであって、人を信じられないとかそういうことではないのです。ごめんなさい、カテゴライズして一緒にするつもりはありません。私自身も、人はひとりひとり違うのだと知らなければならないというだけです。