息子が小学2年生の頃なので…今から10年以上前ですが…、ある保護者とちょっとしたトラブルがありました。

そのお母さんのお子さんは、発達特性があったのかもしれません。よくうちの息子を叩いたり、しつこく絡んだりしていました(私も見てました笑)。

一方、うちの息子はそういうことをされても、めちゃめちゃガンスルーする子でした(それも見てました笑)。
あとで息子に大丈夫か訊いたら「本人も何か困ってるんじゃない?」と言ってました。達観しとるのう・・・。

たぶん、その「一切の反応をしない」という態度が、相手のお母さんには「意地悪をして無視している」ように見えたのでしょう。

私のところにお母さんからメールが届きました。
メールアドレスは、「一緒に登校する子の親同士で連絡取り合いませんか」と呼びかけたお母さんがいたので知られていました。
近所に住んでいて、一緒に集まって登校しあう子のうちの一人だったのです。

で、うちの子がその子を無視しているからどうのこうの、という内容だったので、
すぐに返信して、菓子折り持ってお詫びに行きました。
「事情はまだ息子に質していませんが、取り急ぎお詫び致します。改善できるよう指導致します」
と謝ると
「そちらの誠意はわかりました」
と言ってもらえました。

改めて息子にきいても「◯◯くんとはそんな話したり遊んだりしてないからわからん」とのことでした。
メールアドレスを交換した他のお母さんにも、息子が意地悪してないかきいたけど、まあまさか「はい、あなたの息子さんは意地悪ですよ」とは言わないですよね。
その代わり「あの子は小さな頃からお友達に揶揄われがちなので、お母さんはとても気にしてらっしゃいます。私たちも気をつけるようにしています」とのことだったので、
新参者の私と息子は、そうとは知らずに彼への気遣いが足りなかったんだなーと思ってました。
ま、息子も「◯◯くんとからまないようにする」と言うから、物理的に近づかないんならそれで解決かと思いきや…

そこからお母さんからボカスカとまたメールが来るようになりました。
その内容は、
「まったく改善がありません」
「あんなに意地の悪い子は初めて見ました」
「ご家庭ではどんな態度でいるんですか」
「悪魔のようです」
「それにうちの子の友達に息子さんがまとわりついていて、まるでストーカーみたいです」

などなど。

なかなかのなかなかですね。
こんなの毎日何通か来るんですよ(笑)

私はメールを読みながら、

「いったい、どんなツラしてこんなメールを打ってるんだろう」

と想像しようとしたのですが、困ったことにそのお母さんの顔を全然覚えていませんでした。
謝罪するさいはこっちが加害者なのでバツが悪くてあんま顔見てなかったのかもしれんし、私は他人の「歯が欠けてるな」とかそういうつまらんところにはよく注目するのに、全貌となるとフワフワするのです(そう、あのお母さん、前歯は欠けてたな…)

顔面データがない。人物像を構築できない。いったいドレやねん…(お前のそういうとこやぞ)

とはいえ、これほど強い言葉で訴えてくるということは、本当に私の知らないところで息子が相当なことをしている可能性もあります。

家庭ではおとなしい子でしたが、親の前と学校で同じ顔とは限りません。

だからといって、

「あんたほんとは意地悪しとるん?」

と頭ごなしに訊くのも違うような…。

まず事実を確認しようと思いました。

そこで担任の先生に、

「ある保護者からうちに苦情がきております。そこで息子にボイスレコーダーを持たせて、普段学校でどんな会話をしているのか録音して確認したいです。ただ、小学校にそういう機器を持ち込むことや、他のお子さんのプライバシーの問題もあるので、勝手にやる前に相談に来ました」

と伝えました。

先生は驚きました。

結果、校長先生・教頭先生・担任の先生の3人と、私で面談することになりました。

面談では、まず私の家庭状況について聞かれました。

「差し支えない範囲でいいのですが、お母さんはシングルとのことですが、何か事情があるのでしょうか」

という話になり、私はそこで、自分が未婚のシングルマザーであることやその理由、自分の職業などを話しました。
まずは我が家の家庭環境のことを聞いて、どう私と話せばいいかの材料を集める目的があるんだろうなと理解しているので、すごく素直に余すところなくあけすけに全てお話ししました。

皆さんちょっとびっくりしていました。

たった一人で出産して、仕事して、家事して、育児して、ここまで来たんですか、と。

校長先生は

「いや、誤解していました」

と言いました。

どうやら最初は、

「いきなり子どもに録音機器を持たせたいって、このお母さんは一体どういう発想なんだ?母子家庭だから相談する人もおらず、なにか思い詰めて変なことを言い出しているのでは」

と思っていたそうです。

ところが私の話し方でひととなりがわかり(おそらく理屈っぽいのですよ私は)、また、職業が技術者だと知って、

「なるほど。この人は感情的に録音したいのではなく、事実を確認して検証したい人なんだ」

と補完したようです。

そこで私は

「これほど強い言葉を送ってくるということは、我が子が相当のことをしているに違いないと思いました。ただ、頭ごなしに指導するわけにもいかないので、まず事実確認をしたいと思った次第です」

と、相手のお母さんから送られてきたメールを、全部見せました。

「悪魔のようです」
「ストーカーみたいです」
「あんなに意地の悪い子は初めて見ました」

って書いてあるやつ(笑)

さすがにこれで学校側の空気は変わりました。

校長先生が、

「いや……お母さん……これは、あちらのお母さんがおかしいんですよ」

と言い出しました。でしょうね(笑)

教頭先生もウンウンと続きます。

そして担任の先生も、

「息子くんはおとなしくて気立ての良い子です。こんなことを言われる筋合いはありません!」

と怒り始めました。

そこから、学校側による相手のお母さんの話になりました。

「すでにいろいろな保護者とトラブルになっています」
「お子さんにも他害があり、こちらも苦労しています」
「適切な療育をおすすめしているところです」

……そこまで私に言っていいんかいな。

と思いながら聞いていました。


つまり私は、

「我が子に本当に問題があるなら確認したい」

という建前で学校に相談に行きましたが、当然ながら、

「相手のお母さんの認識の方がおかしい可能性」

も最初から考えていました。

しかし本人に直接、

「あなたの方がおかしいんじゃないですか」

と言ったところで、ただの保護者同士の喧嘩になりそうです。

なので、学校という第三者に持ち込んで、普段の子どもの様子も含めて判断してもらおうと思ったわけです。

学校には、

「本当に悪いか検証したいです」

と言っている。

我が子を頭ごなしに怒らず、事実確認したいのも当然。

学校で起きていることなので学校に相談するのも当然。

判断材料として、必要な範囲で実際のメールを見せるのも当然。

その結果、相手が自分で書いたメールによって学校からどう評価されるかは、私の知ったことではありません(笑)

私はその後、

「また何か言ってきたら、学校にも相談済みだし、今度は学校で先生挟みながら話したらいいかな」

と思っていました。

ところがそれ以降、あれほど届いていた嫌がらせじみたメールは、ぱったり来なくなりました。

学校からなんか言われたか?

あれだけ人の子どもを「悪魔」だの「ストーカー」だの罵倒しておいて、謝りにも来ないのかよ、とも思いましたが、まあ、顔すら覚えとらん相手です。

最初から私の中では、

「誰だっけ、この人」

くらいの存在だったので、謝罪されてもたぶん「誰」です。
直接対峙したとて、「あー、歯は治さないのかなぁ」とか思いそうです…

結局この件で私がしたことは、相手を直接言葉で殴ったことではありません。

相手が自分で残した文章を、状況を知っている第三者の前に、そのままお渡ししただけです。

昔から私は、こういうところがあります。

自分の手で相手を殴るより、

「では、本当にそうなのか、皆さんにも見てもらいましょうか」

と照明をつける。

そこで相手が困るなら、それは私が話を盛ったからではありません。

自分で書いたものが、自分を説明しただけです。

しかも私は性格が悪く、

  「相手のお母さんがここまでおっしゃるのですから、私や息子に何か落ち度があるに違いないと思っていましたが・・・」

などと殊勝なテイでおるので、先生たちが

「いやいやいや、それは違います」「あなたがそこまで自分を疑う必要はないです」

「むしろ相手側に問題があります」

と、自分たちから言いたくなる(笑)


この時点で私はこのお母さんに直接対峙しなくても、すっげぇスッキリしてました。

私は、相手本人を屈服(謝罪)させることより、
「私の認識は妥当だった」と第三者的に確認できることの方が満足度高いのです。

私にとって価値があるのは「相手が謝罪すること」より、自分の認識が現実と一致していたことの確認です。

相手を謝罪させても、その相手が「はい私が悪かったです」と言っただけなら、極端に言えばその人の評価しか得られない。しかも、もともと信用していない相手です(前歯を治さないってどういう了見…?みたいな)。そんな人から謝罪をもらっても、情報価値が低い。

でも第三者、それも今回なら担任・教頭・校長という、日常的に両方の子どもを見ていて事情も知っている人たちが、

あなたの見立ては大きく外れていない
息子さんについての相手の評価は妥当ではない
学校側も相手方の問題を認識している

と確認した。

これは、自分のセンサーの校正ができたということなんですよね。

設計でいうなら、自分の計算結果が実測でも再現した時の気持ちよさに近い。

それともう一つ、第三者評価には社会的な正当性があります。

直接喧嘩して相手を黙らせると、

「私の方が口が強かっただけ」

かも知れない。

でも自分はほぼ攻撃せず、資料を置いて、利害が比較的薄い第三者が同じ結論に達したら、

私が強弁したからそうなったわけじゃない
この状況を普通に見ても、そう判断されるんだ

となる。

「お前に私の正しさを認定してもらう必要はない。事情を知っているまともな第三者が見れば十分だ」 というわけです。



だからなんならこの時点で、相手からメールが続こうが、かなりどうでもよくなってるんです。

だってもう、

「このメールは、私や息子についての信頼できる評価ではない」

と分かったから。

それ以前は一応、読む価値のある「申告」だった。
検証後は、ただのノイズになる。

だから嫌がらせが続いたとしても、

また来たわ
学校も事情分かってるし保存しとこ

証拠ゲットー♪

くらいに格下げできる。

相手がまだ吠えようが、それは相手の自由なのでどうぞ、です。

校長や教頭がその子やお母さんの事情を私に話したのはまずいと思いましたが、
年齢的にもコンプラ意識が低い年代だと思うし、民間企業に比べたら(偏見だけど)コンプラ教育もないでしょうね。
ましてや当時は2010年代ですからね。

でも、事情を教えてもらったおかげで、相手のお母さんへの「うぜぇ〜」という気持ちより、気の毒だなという気持ちが大きくなりました。
まあ苦労されてるからといって私に八つ当たりすんじゃねーよとは思うけど、あれほど強烈な罵りメールの理由にも合点がいきました。
理由に合点が行くと、どんなに変なことだとしても私は「あっ、なるほどー」とスッキリしてしまうのです。
まあ私なら苦労してるからと言って八つ当たりはしないのですが、そこを深掘るとまた「じゃあ何故八つ当たりする人間がいて、その目的はなんなんだろう。そもそも何故神はそのような思考をする人間を創り給うたのか」と迷宮入りするので、やめました(笑)