
この3~4年、大事に着ているTシャツがある。
鉛筆書きの少女の顔がどか~んとプリントされていて、
髪には大きな赤い花があしらわれている。
ニカっとわらった口元からは、
歯科矯正の金属器具が覗いている。
可愛いんだけれど、ちょっと気持ち悪い。
変なシャツ。
そのシャツをデザインした野田凪さんが他界、
鎮痛剤の誤飲によるとのこと。
世の中、優れたデザイナー/アートディレクターはいっぱいいるけれど、
「どうしてもかなわない天才」と思える人のひとりでした。
デザイン本を見て誰かのデザインを参考にすることはよくありますが、
彼女の作品は参考にできないし、マネさえしようがないほどです。
これほどの才能が失われるのはデザイン界の損失ではありますが、
オッサンになったせいか、そういうことよりも、
年下の人が若くして死んでしまうことが悲しい。
巨匠になら「お疲れ様でした。ありがとうございました」と言えるけれど、
彼女にはかける言葉も思い浮かびません。
会ったことはないけれど、ご冥福をお祈りします。