病名告知の時、母がいちばん辛そうだったのが、

「犬とはできるだけ隔離した生活が望ましいです」
「一年くらいは、距離を置かれた方がいいです」
の言葉。

涙を見せたのはこのときだけ。
 
母が入院した日から、我が家の愛犬は、トレーナーさんのお宅でお世話になっている。
もともと、旅行時などはペットホテルとしても引き受けてくださっていた。トレーニングにも毎週、何年も通っているので、犬からすればよく知ったお宅。
もちろん犬自身、先生のことは大好きで、母もトレーナーとしての先生に絶大な信頼を置いていた。

私たちは、先生にお預けしたまま、
本当に申し訳ないのだけど、会いに行く余裕もなくお任せしていた。
父はもともと散歩も排泄物の処理も出来ない人だし、
私たちは毎週の自宅と実家の往復で精いっぱいだった。
そんなこんなで一年、本当にご迷惑おかけしたと思う。犬も寂しかっただろうし、置かれた環境に慣れるのも大変だっただろう。

毎月、ホテル代とトレーニング代、美容代や食費なんかでほぼ八万円。それを一年。
それは有限だと思っていたから、いつかまた迎え入れる予定でいたから払えていたお金。

去年常勤で働いていた父は、それなりに収入があったけど。
病気発覚後すぐに仕事を減らし、パートになった今年は、たぶん一月10万ももらってない。たぶん5万程度。
その上で、昨年の収入で判断され、遺族年金は一切降りない。
今後は働くつもりではいるみたいだけど、母大好き!自分より母!いないとダメ!っていうのを全く隠さず何年も生きてきた父、母が病気になって以降の憔悴っぷりもはんぱない。
まだ四十九日も終わってないし、今後本当に仕事に復帰できるかもわからない。

毎月八万円は、今後払っていけるお金ではないと思った。
犬自身の幸せ、母の希望、それをいちばん尊重して、
今後どうするかを決めなければいけない。