母が亡くなって、いろいろな手続きを院内でして、
看護師さんと母を囲んでお迎えを待っているとき。

「私は最初の入院のときから見させていただいて、いろんなお話させてもらいました」

と、言ってくれたので。

なんとなく、
「ICU行く前どんなこと話してました?」
と聞いてみた。

会えなかったしほとんど様子がわからなかったし、 いつも家族には無理をして辛いことも訴えなかった母。
心細そうにしてなかったか、寂しそうではなかったか、少しでも何か母が言っていたことや日々の様子を知りたくて。


「えっ、あっ、うーん」
急にちょっと慌てたような感じになって、
「あっ、なんか美味しいもの食べたいって言われてました!」
もうちょっとその先が続くかと待ってみたけど、
「…」ニコ
みたいになって。

あ、結局そんなもんよね、ってわかってしまった。
母は結局、大勢でたり入ったりする患者のひとり。
みんな痩せて髪が抜けて、マスクもしてたりでそんな見分けもあんまりつかないような見た目で。
この病棟では急変も死亡も良くあることでしかないんだろう。

何年も闘病したわけでもなく、
ぱっときてぱっと消えた母、
それだけなんだなって。

仕方ない、そんなものだと思う。

家族にとっては、生きている姿の一分一秒でも、
些細な言葉ややり取りのひとつでも、
別れが来てしまった後ではこんなにも大切に感じる。

コロナのことは仕方がない、
一人一人が何かを要求出来るような状況じゃない、
それはわかるけど。

でも、奪われた時間、本来ならもっと見られた最後の顔、取り戻す方法がないのかって、しつこくしつこく考えてしまう。