映画「存在のない子供たち」を
シネスイッチ銀座で観てきました。
レバノンで貧困に苦しむ家庭に生まれた少年ゼイン。
兄弟がものすごく多く(数えていないけど7人くらいいたような)
それでいて親は働かない、というか働くための身分証明書がない。
ゼインも戸籍や出生証明書がなく、自分の誕生日を知りません。
年齢は「12歳くらい」。 学校に通うこともなく、
毎日朝から晩まで路上で物を売って働いています。
その彼があることをきっかけに実の親を告訴。
「生まれてからずっと地獄」、
「育てられないなら産むな」
「子どもをつくるな」と
法廷で親を訴えます。
負の連鎖を自ら断ち切り、
そして最終的に、
身分証明書を自分で獲得するお話です。
この少年は愛情の塊みたいな男の子。
身売りされそうになる妹や、
見ず知らずの女性の赤ちゃんを
必死に守ろうとします。
特に少年と赤ちゃんのシーンにはほっこりするところもたくさんあって、
深刻な場面の多い映画の中に
安らぎや生命力を感じました。
シリアやエチオピアからの難民の人たちもたくさん描かれていて、
みんな生きるために必死です。
監督は自身も2人の子を持つナディーン・ラバキー。
母性を感じるシーンが沢山。
映画を観たあと、
普段自分が抱えている悩みのちっぽけさ、
恵まれた環境へのありがたみの薄さ、
他者を理解する心や、
助け合いの心を果たして自分は持っているのかどうか、など、
色々と突き刺さってきました。
昔の話などではなく、
2019年現在、中東での現実なのだ、、、と
映像の訴えてくる強さにただただ呆然とします。
主人公を演じた少年は、
実際にシリア難民で働いていたところを
主役に抜擢された子です、演技に嘘がなく本気の怒りを感じます。
日本でも外国人労働者の人権侵害が問題になっているし、
児童虐待の問題も深刻。
映画に描かれている実情は、
対岸の火事とは言っていられないのかもしれない。