[17日 ロイター] - 「国際反ホモフォビアの日」の17日、世界各地で同性愛に対する嫌悪(ホモフォビア)をなくすための集会やキャンペーンが展開された。LGBT(性的少数者)の権利を擁護する活動家らは「Kissathon」と名付けられたイベントを開催、参加者らがキスを交わすなど各地でさまざまな活動が行われた。
日本ではあまり報道されませんが、実は先日終了したフランス大統領選挙にも、「同性愛嫌悪」は、大きな関わりがあったのです。
2016年5月、第一次世界大戦中のヴェルダンの戦いから、100周年を記念しコンサートが計画され、祖父がギニア出身で第二次大戦にも参戦したフランス移民である、三世のラッパー、BlackMも、社会統合の象徴として、招待されていました。
フランス人ラッパーBlackM
ところが、BlackMの歌の中には、「同性愛嫌悪」や「Kuffar(不信心者)」という歌詞があり、フランスでは、「人種差別的」として、100周年記念祭への参加を拒否せよ、という論争が巻き起こりました。
フランス大統領選挙でマクロン新大統領と決戦で争った、国民戦線の党首マリーヌ・ルペン氏も、#VerdunSansBlackM とツイートし、イベントのキャンセルを呼びかけていました。
フランス共和国が重視する価値観は「自由・平等・博愛」です。
また、政教分離が重視され、「Laïcité(ライシテ・宗教をもちこまないこと)」が原則とされています。
BlackMが歌った、「同性愛嫌悪」や「Kuffar(不信心者)」は、イスラム教徒が重視する価値観です。
フランスの原則とは、大きく異なるのです。
BlackMのルーツ、ギニアは人口の8割がイスラム教徒です。
本人は公式にはムスリムであると表明していないようですが、上記のニュースが象徴するのは、フランス社会に、イスラム系移民が持ち込んだ価値観が産む軋轢なのです。
ジャーナリスト杉田水脈さんの現地リポート!
フランス社会での移民問題も解説しています。ぜひご覧ください!