財政拡大で国の借金のGDP比は減少するという驚くべき事実 | channelAJER

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「財政拡大で国の借金のGDP比は減少する」と主張しても「そんな馬鹿な」と言って誰も信じてくれない。しかし国債を増発し財政を拡大すれば、名目GDPも国の借金も増加することは誰もが知っていることだ。では、このとき名目GDPの増加率と国の借金の増加率のどちらが大きいかと聞けば、ほとんどの人はそんなの分からないと答えるに違いない。そうであれば「財政拡大で国の借金のGDP比が増加するか減少するかは分からない」とほとんどの人は答えるべきである。同じ質問を別な聞き方にしただけだから。

 

一度次のサイトを見て欲しい。

http://www.tek.jp/p/

 

ここでは内閣府が発表した計量モデルの試算結果を分かりやすく数字で示したものである。10兆円の追加景気対策をした場合としなかった場合の計算結果を示してある。予想通り、国の借金も名目GDPも増加している。問題はどちらの増加率が大きいのかということだから国の借金をGDPで割った値、つまり国の借金のGDP比を計算すればよく、その結果はこのサイトで見ることができる。このサイトで、国の借金のGDP比は、景気対策をしなければどんどん増加し続けるが、景気対策をすれば減少していくことが確認できる。

 

この結果は内閣府のホームページ

http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome.html

に明確に示されているが誰も気がつかない。

 

2005年6月6日 財務省は「財政問題に関するシンポジウム」を開催し経済財政諮問会議の吉川洋教授もパネラーとして出席していた。筆者は「公共投資を減らすと国の借金のGDP比は増えると内閣府は発表している。それでも公共投資を減らすのか。」と質問した。丁度小泉内閣が公共投資を減らしている最中だったからである。これに対しパネラーの吉川洋東大教授は「そんな事はありません。」と言った。更に反論しようと挙手したのだが、財務省の職員が暴力的にマイクを取り上げ発言させなかった。シンポジウムの終了後、吉川教授は私の所へやってきて、内閣府に調べさせると約束した。後日内閣府経済財政諮問会議民間議員秘書室の浅田という人から、私の発言が間違いないことを確認する文書が郵送された。

 

このように国の借金のGDP比は財政を拡大すれば減っていき、財政は健全化するのであり、長年日本を苦しめた国の借金の問題は解決するのだ。このことをほとんどすべての国民も政治家も知らないから国の借金のGDP比を減らそうと逆に増税や歳出削減を行う。実際はそうすることによって国の借金のGDPは増えてしまうのだ。これは内閣府の試算に限らず、どんなマクロモデルの試算でも確かめられる。筆者は内閣府に電話したり、質問主意書という形で質問したりしてこの事実を政府に認めさせ、それにより国民全員に理解させようと努力を重ねた。しかし政治家や財務省・内閣府の官僚にとっては、これは過去の政策が過ちだったと認めることになり、隠蔽しておきたいことのようである。そこで内閣府が行ったのは毎年行っていた類似の試算結果(乗数)の発表を止めることだった。実際2010年以降は一度も発表していない。彼らの逃げ口上は「乗数はその後変化がないから」であった。その後「リーマンショックの後、変化が大きすぎて乗数が求まらない」という言い逃れに変えた。

 

皆さんに是非理解して頂きたい。国の借金のGDP比を減らすには、財政を拡大してデフレから脱却するしかないのだということを。