一恋記(一話)

髪が風でなびく4月の教室、僕は隣の席の子に
「恋をした…?」
あり得なかった、僕は恋などしないと
遠い昔、幼馴染と約束したのだ
「…巫女(みこ)に言ったら…。」
巫女は幼馴染、家も隣、一番仲がいいと言える友達だ
だが先月家の前でばったり会った時
「燈葉(とうは)…私、隣に燈葉がいないとヤダよぅ…」
と泣きながら言っていたのだ、もう心が読めるくらいに
だが、自分の心もある。巫女も好きなのだが…
でも巫女への好きは幼馴染としての好き…
やっぱり、どうすべきなのかが分からなくなってきた
そう悩んでいるうちに外が暗くなる
「…帰るか。」
部活も全て終わっている、教職員しかいないこの学校
とても孤独感が味わえるものである
出ようとドアに手を掛けたその瞬間
ガラガラガラガラ…
ドアが開く、するとそこには
「あら、とーくん?どうしたの?こんな時間に…」
そうこの声の人こそ
「鈴華…あ、あんたこそ、なんでここに来たんだよ」
僕の席の隣にいる今片思い中の相手鈴華(すずか)である
すると僕に顔を近づけてくる
「暗い教室で二人きりだとなんかドキドキするね」
顔が赤くなる、なんだか恥ずかしくなった
すると鈴華は思い出したように目的のことを話す
「とーくん、いきなりだけど…付き合ってくれる?」
いきなり言われてびっくりする
「い、いきなり、ど、どうして?」
焦って呂律がうまく回らない
一度悩んで言葉を続ける
「んーと、巫女にあなたを渡したくないからよ。」
…巫女?なんで巫女が
「私ね、巫女の姉なのよ。ま、訳ありで名字は違うけど。
 それでね、私がとーくんと付き合えば巫女も諦めると思うの」
あきらめる…なにを…
嫌な予感がした、数年前に言われたあの事を思い出す
「私ね、高校卒業したらね、レプリカになっちゃうの。」
心はお姉ちゃんにあげて体は実験に使われるの…
心移実験を行うそうだ
「心移実験…?まさか、早まった…?」
鈴華の笑顔が月夜に輝く