ブラームスの色気 | ドイツ暮らしの情報

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ドイツで音楽の仕事などしてる大阪人です。

生活や音楽や、
海外に興味のある方に向けての情報、またはただの呟きに付き合って下さる方との繋がりを求めて、こちらでの暮らしの様子を綴ります。

今年の夏は、

この暑さと、新居の居心地の良さが相まって
自宅で聴きたかったCDを聴くことに
たっぷり時間を費やしております。にひ。

コレペティのお仕事も指導のお仕事も
休暇中はないのです。にひ。



来月以降、室内楽、ソロで
ブラームスを弾く機会が多くて、
それならば彼の交響曲を
じっくり傾聴してみようということで。





昨日、一昨日は第4番を半日ほど聴いてました。そうです。暇なんです。よくお分かりに。

色々と聴いてみました。
全部聴いたのはブルーノワルター指揮と
クルトザンデルリング指揮で。



実は昨年、この交響曲を2度ほどオケで聴く機会があったのです。4番て演奏される回数が多いのですね。


年末に、ブルーメンの室内オーケストラを、パーヴォヤルヴィの指揮でヘラクレスザールで聴いたのですが、それはそれは、素晴らしかったです。(カタカタばっかり、、)




個人的に興味深かったのが、

ブラームスのピアノ・トリオは全4曲あり、
その中でも第1番作品8が最も演奏回数が多いのですが、




交響曲もまた全部で4曲あり、
第1番は既に作品68。で、どの交響曲も素晴らしい中、割と4番がよく演奏されていません?


(ちなみにピアノトリオの4番は、死後発見された作品らしくて。
本当に彼の作品であるかの信憑について未だに決着がついてないらしいですが、これはブラームスでしょって音楽です。)




ピアノトリオ1番はまだまだ若い20歳の頃の作品ですが、初期のピアノソナタほどの異様なガツガツ感はなく、それでいてバイタリティに溢れたピアノパートが超魅力。で、超難。←

されど各楽器との掛合はやはり天才だと思う。これ本当にハタチで書いたの?まじやば。と思ってしまう。



そして、交響曲第1番作品68。
これはベートーヴェンをいかに超えるか・・・というロマン派時代の数々の作曲家の交響曲発表の挑戦を傍目に、21年も慎重を期して作曲され、43歳で全て完成されたらしい。

てか、ベートーヴェンへの尊敬が半端ない♡
てか、ちょっと慎重すぎ♡



と思ってしまう1番…
まだ文章にできるほどの見地がありませんの。真顔(ドヤ顔の使い方間違ってる)



ただ、ブラームスは生涯独身で、若い頃から先輩の奥さんを想いつづけた事で知られてますが、この音楽にもその背景がかなり反映されている気が。

今日は、いくつか聴いた後のただの感想文です。

なんとも悲劇的な出だしの一楽章、
ティンパニーがOrgelpunktを聴いてると
いい役してると思ったり。

この出だしの下降と上行の主題が、ティンパニーに乗せて

「まったくよぉ、、21年間も4楽章までかかって待ちわびたぜ。やっと日の目を見たぜー!」と言ってるような。

清々しさと、厳しい推敲を重ねただけの崇高さがありますね。(そおゆうダジャレみたいのん、いらないですか?すいません)

ブラームスの楽器の掛合の使い方と構造の入念さってやっぱりすごい。

展開部にある賛美歌が、「Ermuntre dich, mein schwächer Geist」(勇気を出せ、私の弱った精神よ)というもので、

この第一楽章が第九の4楽章のような、「終わりから始まる」共通点がある気がして。シラーの詩じゃないけど。
大作曲家たちはいつだって、私たちにメッセージを残してくれてるんだなぁと感動しちゃいました。


ブラームスのそれは、まだベートーヴェンを希望の星に見立てているような、自分を認めてもらいたいような、、少しのいじらしさも感じてしまったり。(そこが魅力なのかしら)



二楽章は、各楽器のソロが印象的な。

ベートーヴェンの交響曲では
ソロ楽器って、自然の中の風景を感じとることが多いのですが、
ブラームスのそれはいつも人の感情や思い出の物悲しさのような儚さを感じます。

形式の造形美+人間味=ブラームス 

うむ。(勝手に納得しました)




その人間味がもっと親密な感じになって開始する3楽章もコンパクトで、室内楽的な各楽器の使い方がとっても心地がいい。


4楽章は1楽章のとシンメトリーになってるとゆう細やかな設計で盛り上がったあと、
クララへの愛を熱く奏でるホルンソロでハ長調になり。。
(ここからどんどんアルプス山脈が浮かび、ハイジのヨーデルのテーマが脳裏に一瞬流れてしまうのは私だけ?)

満を持して登場する第一楽章のテーマが、なんとも美しすぎて泣ける…これぞブラームスマジックえーんえーんえーん

それを後にオケで再現し、しかし転調して、、楽章の始めにあった下降形のモチーフでどんどん展開してチェロの人たちが忙しそうなピチカートを経て、、(ってむっちゃ展開するやん!)

その後謎のシンコペーション、ゲネラルパウゼ、、と複雑化して、
それまで出てきたモチーフが多楽器で演奏されたり、工夫を凝らした展開のあと、やっとコータ。

もはや楽譜がないとよく分からないので以下省略(笑)


クララに対する愛が最後華やかに幕を閉じるのでした!ぱちぱちぱち👏👏👏(安易な結論に逃げる)


てゆうか、
ピアニストなのでオケに入れないので、
改めてこおゆう交響曲を中で
指揮者とともに勉強できる
楽器の方が羨ましくなっちゃいました。



私なりに1番と4番を聴きまくった感想は。。

4番の交響曲のその、、なんというか、、
ブラームスの男の色気というのか。
クララへの叶わぬ想いが哀愁となり、色気となって音楽からバシバシ放たれていると思うのは私だけでしょうか、、?(笑)


真摯に生真面目に
音楽と向き合い続けたブラームスだけが
到達した音楽。

モーツァルトのオペラのような、色恋沙汰なんて微塵もない、正反対の音楽のもつ色気。




 

そんなことを考えていると、 
悲しさや寂しさ、孤高を感じることも…

なんて美しいことなのかなと気づかされます。



時代は日々変わって、
ポジティブ思考を謳われることが多い現代ですが、

振り返る時代の持つカラーに
どっぷり浸れるのがクラシック音楽。

そこにはなんともいえない美しさがありますね。


ブラームスさん、
音楽で人生を残してくれてありがとう。