国道X
国道12号をパトロール中の警官が、ノロノロと走っている1台の車を停車させた。
運転していたのは80歳ほどの老婦人で、同じくらいの年齢の老婦人が4人、助手席と
後部座席に座っていたが、運転していた女性以外はみな目を見開いたまま放心していた。
警官:「マダム、安全運転は結構ですが、あなたの運転のせいで渋滞してしまっています」
警官は車内の異常な雰囲気を怪訝に思いつつ言った。
老婦人:「お巡りさん、私は交通法規を守っているのですよ」
注意された老婦人は不満そうに答えた。
警官:「交通法規ですか?」
老婦人:「そうです。ほら、あそこに、この道路の制限速度が書いてあるでしょう」
老婦人が指さした先を見た警官は、笑いながら言った。
警官:「マダム、あれは国道12号という意味の標識です。
時速12マイルで走れと言う意味ではありません」
間違いを指摘された老婦人は赤面した。
老婦人:「すみませんでした。お巡りさん」
警官は微笑んで首を横に振りながら言った。
警官:「これから注意してくだされば構いませんよ。ところでマダム」
老婦人:「なんでしょう?」
警官:「車内の皆さんは、まだ放心されたままですが、どうされたのでしょうか?」
老婦人:「私にも分かりません。さっきまでは皆楽しくおしゃべりしていたのですよ」
警官:「いつまで?」
すると老婦人が答えた。
老婦人:「国道44号から国道265号に入るまでです」