
「異変」
都議選は熱い、いや暑い。梅雨のこの時期に行われる選挙は何故かカンカン照りで真夏日が続き、候補者やスタッフは過酷な環境のなかで運動を強いられることが多い。この後遺症から当選後に亡くなる議員もいた。ところが、今回は概ね梅雨らしい、じめじめとスッキリしない曇雨な天候。あたかも、今回の選挙戦を象徴するかのようだった。そして、選挙の結果は様々な異変を起こすことになるはずだ。
「曖昧朦朧」
選挙とは、有権者の政治選択を問うものだから、政党-候補者から問題意識、政策、意見などの選択肢が提示される。それが選挙争点と呼ばれるものだ。
往々にして、国政にも影響を与える都議選は、その時の政局も波及する。
知事与党勢力が躍進し、小池政権の基盤安定がはかれるか?自民党、安倍政権への印象、評価は如何に?
選挙戦に突入し、都政、国政の政局に有権者の関心が流れた。豊洲市場移転の可否、オリパラ開催準備、都議会改革他の都政に関わる重要政策議論は深まりを見なかった印象だ(毎度のことながら)。
「小池知事がしっかりやってくれたらいい。議会にはあまり関心がない」(19歳大学生)、「都民ファーストの候補は女性、名前はしらないけど」(37歳会社員)
「パワハラ暴言テープがテレビで流されるのを聞くと気分が悪くなる」(56歳主婦)「野党として不甲斐ない民進が政権とれるわけない。自民も情けない」(71歳無職)。
巷の声は総じて、現実に嫌味を感じるニヒリズム。有名な政治家がマイクをにぎれば、足をとめて演説に耳を傾けるが、総じて有権者の反応は冷めているように見受けられた。
候補者の多くが、街角の有権者から当落の感触をつかめず消化不良な選挙戦が終わったのではないかと思う。
有権者、候補者双方にとって曖昧朦朧とした9日間が過ぎてしまった印象だ。
「完結とデッドライン」
小池劇場は、この選挙で与党勢力が大勢を占め、議会も知事が手中に納め所謂、知事と議会とのねじれが解消。「百合子一人舞台都政」が整いひとつの物語は完結する。
一方、自民、民進の二大政党の敗北は都政のみならず、政局混沌を深め、あらたな変化の端緒となるに違いない。安倍政権、自民党、民進党は有権者からの「不信」をいずれも問われることになるが、これは、デッドラインに立たされたことを意味する。小手先、猫だましの改善で済む事態ではないだろう。
※参考 事前情勢分析(6.22実施)
【情勢の概要】
自民VS都フが軸という構図は変わらず、民進、共産、維新はこの状況を崩しきれない状況にある。
都フは、豊洲移転、オリパラ準備問題の対応等で小池知事への期待感は減速しているが、都民から知事への信任姿勢は堅調。知事と議会との無益な対立構図を回避、解消させスムーズな都政運営を望む意向も働いているとみられる。選挙経験なく、新人落下傘候補のうち、浮動票の動きが鈍い地域、都フへの移籍候補、乱立接戦の選挙区については当落ボーダーの戦いとなっている。
自民は、先の国会における、テロ等準備罪法、森友加計学園疑惑への対応のまずさ、所属国会議員のスキャンダル等への嫌悪感から、前回選挙に比べ、消極的支持者層の離反、無党派層からの支持が激減している。いわゆる「安倍政権へお灸をすえる」という投票態度が予測される。
公明は事前の候補者調整の妙と小池知事との連携という、なりふり構わない奇策で学会支持者の離反を食い止めている。
民進は、都民ファースト登場の波を大きく受け、多くの離党者が都民ファーストに流れた状況は、都民に党態脆弱の足元をみられた格好となり、反自民、小池支持層の受け皿となり得ていない。
共産は、無党派リベラル層からの反自民、非小池票も取り込んでいるが、2~4人区では激しい争いを展開している。
生ネ、維新、社民は厳しい戦いを強いられている状況だ。
都フ勢力 優勢で最多議席
自民 現有議席半減~3分の2程度
公明 現有議席維持程度
民進 一桁台議席の可能性も
共産 現有議席微減
維新、議席0の可能性も
生ネ 現有議席を減らし1~2議席
社民 議席0
【各党、団体の獲得議席予想】
都フ42 自民23 公明20
民進02 共産03 生ネ01
維新 0 社民 0 無0
未確定36
※都民ファースト推薦の無所属は都フの議席数に加算した。
現時点で、91議席はで確定しているとみられるものの、残り36議席は、都フ、自民、民進、共産、生ネが当選ボーダーラインでの接戦状態。ちなみに、まだ、投票する候補者が未定、迷っているという有権者が7割近くおり、投票率も最大50%前後と当初予想に比べて、そう大きな上昇はないものと思われる。
いずれにせよ、イメージや感覚に左右される都民の投票性向を鑑みると、告示日から投票日までの間に何が起こるか目が離せない。
(福見幸太郎、杉浦えり、寺山智雄)