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 1945年の敗戦時と現在を重ねて描くラブ・ストーリー。当時若者で現在80歳前後の台湾人と日本人の皆さんは、きっと熱い思いでこの映画を観ることでしょう。そして、その時代を直接には知らない私たちが見ても、心境がよくわかる映画です。3世代一緒に楽しめる映画です。台湾で上映されていたのは2008年。日本では2010年。

 

 

【タイトル解題&絶対に字幕で】
 「海角七号」って手紙に書かれていた住所なんだけれど、まだ観ていない人のために、それ以上はあえて書かない。
 住所不明の小包には、いくつもの手紙が鶴の描かれた文箱ごと入っていた。小島友子となっている宛名の本人が判明する場面は、最も印象的な場面のひとつだろう。
 この場面、日本人による吹き替えは絶対にいけない。片言の日本語で話される会話だからこそ意味がある。この映画は、絶対に字幕の設定で観るべき。

 

 

【いかにも台湾的】
 序盤から前半にかけては、なんちゅうかあらゆる意味で “大雑把な感じ” なのだけれど、これがいかにも台湾的に思えてチャンちゃんは笑ってしまう。でも、台湾人的性格や台湾人的好みを全然知らない日本人なら、やや引き気味に見てしまうかもしれない。
 最後のバラード的なクライマックスに向けて、全体が意図的にコミカルにつくられているけれど、序盤は敢えてドタバタ的な脚色でつくられているから、承知していて楽しむといい。
 バンド演奏に参加している主役以外の4人に関するそれぞれの個性的な心模様も観ていて楽しい。

 

 

【友子という日本人】
 あんなに強い性格で感情も露わにはっきりものを言う日本人女性って、そうそうお目にかかれないはずである。明らかに日本人の平均値からは大きく外れている。でも、台湾人好みの面白い映画にするために、あんな性格設定になっちゃったんだろう。
 友子が発する嘲罵のセリフだけでなく、会話の中に時々出てくる日本人に関する表現を聞いて笑わない日本人は多分いないだろう。

 

 

【あの年の恋物語を・・・】
 空が晴れたら あそこへ戻ろう
 雨の舞う 国境の南へ 戻ってみよう
 あの年の恋物語を 完結させるために
 クライマックスで歌われているバラードの歌詞。
 そして、この歌のあと、「野バラ」が、台湾語と日本語で歌われている。
 「野バラ」は、映画の最初の場面で80歳のホーさんがバイクに乗りながら口ずさんでもいた。最後にこの曲を弾きだしたのもホーさん。このおじいちゃん、ヴィジュアルが松下幸之助さんみたいで、口は達者で、楽器演奏は国宝級という設定なのに、三枚目役に徹している。
 「野バラ」をBGMとする締めくくりの場面は、手紙の送り主の娘さんによるナレーションと、台湾の港を出港する当時の船のCG映像である。

 

 当時、台湾に行っていた日本人の皆さんにとっては永久保存版でしょうから、絶対に購入ですね。
 金欠ぎみの若者も、ツタヤでレンタルして観てください。たったの100円で観れちゃいます。

 

          『海角七号 君想う、国境の南』

 

 この映画の舞台は台湾最南端の街、恒春。
 恒春にやや近い所に 台湾第二の都市、高雄 があります。

 

<了>