イメージ 1

 地球温暖化を喧伝する勢力は、基本的に炭素排出量をめぐってビジネスにしたがっている勢力なのであろうけれど、個人的な感覚としては子供の頃より明らかに暑くなっていると感じているし、急激に寒くなって雪がたくさん降ってくるという逆転現象もあるのは事実である。
 基調として地球が向かっているのは、温暖化なのか寒冷化なのかどっちなのだろうと思いつつ、寒冷化を主張するこの本を読んで根拠を確認してみた。2009年12月初版。

 

 

【気候に関わる5つの因子】
 (1)太陽活動、(2)地球磁場、(3)火山噴火、(4)温室効果ガス、(5)ミランコビッチ効果、の5つについて記述している。
(1)太陽活動の活発化は黒点の増減に比例しているけれど、黒点が増え太陽活動が活発になると、太陽風が宇宙線を吹き飛ばしてくれるけれど、近年、太陽活動は減衰していると書かれている。つまり、多くの宇宙線が地球に降り注ぐ傾向にある。
(2)長年の観測記録から地球磁場は弱くなっていると、多くの著作に書かれている。磁場が弱くなると地球に降り注ぐ宇宙線の量は増える。(1)と同じである。
(3)火山の噴火によって成層圏に吹き上がった火山灰が日差しをさえぎり寒冷化を誘発する。
(4)温室効果ガスについては、オゾンやメタンや二酸化炭素の影響が語られてきた。オゾン撤廃は産業的に進んだから、実際問題として原因であったかどうかはともかく鎮静化している。メタンは二酸化炭素に比べてビジネスにならないからそれほど叫ばれていないだけだろう。しかし、そもそも二酸化炭素は、水蒸気に比べて温室効果は大きくないのだという。科学者もビジネスの利権構造に荷担しているというだけのことなのである。
   《参照》   『ほんとうの環境問題』 養老孟司・池田清彦 (新潮社)
(5)ミランコビッチサイクルは地球にめぐってくる氷河期のサイクルに関与している。

 

 

【宇宙線と雲】
 上記の(1)と(2)に関与している。
 気候変動のもっとも大きなパラメーターとして考えるのは 「雲」 の役割である。(p.22)
 二酸化炭素の濃度より雲の存在の方が、気温に関して圧倒的に大きな因子であるといっている。
 雲発生のメカニズムは諸説あるが、飽和水蒸気量を一定値だけオーバーすると、自動的に雲ができるという考え方が主流だった。しかし、これは極めて古典的な考え方で、現在の分析はもう少し進んでいる。 ・・・(中略)・・・。最新の研究によれば雲の発生は宇宙線の影響を強く受けているという見解が支配的になろうとしているのだ。(p.22-23)
 太陽の黒点の数が減少すると太陽風が減少して、地球に降り注ぐ宇宙線を跳ね飛ばすことができなくなるので宇宙線が地球に大量に降り注ぐことになる。宇宙線が大量に降り注ぐため地球では雲の発生が増えて太陽熱を反射してしまうので、寒冷化の傾向が生まれるということだ。(p.91)
 太陽活動は活発化しており2012年に最大になると主張している書籍はいくつもあるけれど、この書籍には、太陽活動は近年減衰傾向にあると記述されている。(どっちが本当なのは、我々一般人は知る由もない。ここではツベコベ言わずに、著者の記述に従っておこう) 太陽活動の低下と地球磁場の減衰傾向があいまって地球に降り注ぐ宇宙線が増加し、これによって雲が増え寒冷化をもたらすことになる。
 雲の発生が1%増えると気温が1度C下がるので、宇宙線の量が変化すると、地球の平均気温は二酸化炭素の増加など比にならないほど、かなり大きな影響を受けることになる。(p.24)
 二酸化炭素の温室効果は水蒸気に比べれば大変少ない(p.26)、と書かれているから、雲の影響と、(4)の温室効果と絡めて考えてみる。
 古典的な考え方に則すると、水蒸気量と雲の増減は正比例関係にあるのだろうから、雲が増加すれば温室効果も増大することになり相殺することになる。しかし、常識的・体験的に考えて太陽光遮蔽による日中の温度低下の影響の方が圧倒的に大きいと考えていいだろう。

 

 

【誤記だろうけれど、ちょっと不信感を持ってしまう記述】
 水の密度が最大になるのは4度Cである。このような性質を持つ物質はあまり存在しない。普通の物質は比重のもっとも重い温度は凝固点より低いものだ。
・ ・・(中略)・・・。
 水は冷やされて4度C以下に下がると比重が上がり下に沈むようになる。そして0度C以下になると表面は固体化していくことになる。だから水は上から固体化していくのだ。(p.73)
 この後半の記述は、明らかにおかしい。 “4度C以下に下がると” は “4度Cになると” の誤記であろう。そうでなければ、表面から凍らず、下から凍ることになってしまうではないか。
 単なる誤記かもしれないけれど、著者の科学性に若干の疑惑が生じてしまう。これ以外にも史実に照らして整合しない記述がある。南極の氷床に関する以下の記述である。

 

 

【南極の氷床】
 寒冷化は地球のエネルギー循環を鈍らせることになるのだ。
 一方、温暖化は地球のエネルギー循環をよくするという意味では、結果的に南極の氷河の量を増やすことになる。地球全体のエネルギー交換が盛んになるので、暑い地域の熱エネルギーをいち早くほかの地域に運び、地球上にたまった熱を冷まそうとする力が働くようになる。これも地球自体が持つ緩衝効果のひとつなのだ。
  ・・・(中略)・・・ 。
 もし温暖化が進んでいるなら、南極の氷床は崩落速度を上げているはずだ。同時に南極内部に降る雪の量も増加しているはずである。そのバランスの変化を正確に観測しないといけない。(p.79)   
   
 南極内部の雪の量が増加しているかどうかデータはないので何とも言えないけれど、地球のバランス機能として考えれば、この記述は筋が通っている。
 しかし、“温暖化は地球のエネルギー循環をよくするという意味では、結果的に南極の氷河の量を増やすことになる” という記述は、詭弁じみていないだろうか。だって、氷河期に比べて間氷期の海水面は遥かに高かったというのは立証されていているではないか。現に、著者は以下のように書いているのである。
 現に地球環境で最も暖かかったといわれる白亜紀は南北両極にも氷床はなくなり、大森林が南極大陸を覆っていた。(p.125)
 温暖な間氷期には、両極の氷床が溶け出していたから海水面は上昇していたのである。だから、温暖化によって南極の氷河の量が増えるというのは詭弁である。
 こんな詭弁を弄さなくても、「現在は宇宙規模の秩序再編過程にあって気温は乱高下する傾向にあるけれど、基調としては寒冷化に向かっている」、としておけばいいではないか。

 

 

【火山活動の引き金】
 地下にたまるマグマは絶えずエネルギーが満ちた状態である。それらが一挙に活性化するきっかけとして宇宙線があるとしたら、宇宙線の大量照射によって世界各地で火山活動の連鎖の危険が起こってくる。もし成層圏にまで達するような火山の噴火があちこちで起こるとしたら、長期にわたる太陽エネルギーの遮断が起きる可能性があるのだ。(p.120)
 宇宙線が電子レンジのように地球内部を温めて火山の噴火を誘発するという可能性は、科学的に肯定も否定もできないだろう。
 日本の1993年の冷夏は、1991年に噴火したフィリピンのビナツボ火山によるものと言われているし、昨年のアイルランドの噴火が、今年の寒い冬の原因となっているのかもしれない。たとえ太陽活動が活発化していても、地球上の火山が連鎖的に噴火したら、目に見えて地球は寒冷化することになるのだろう。

 

 

【ミランコビッチサイクル】
 セルビアの地球物理学者ミランコビッチが導いた理論で、過去数十万年の気候について分析された理論なのである。(p.92)
 太陽系の星々は、中心の恒星である太陽ですら惑星の影響を受けて40~50kmの公転軌道を持っているのだけれど、そういった軌道問題と、それぞれの惑星の自転による揺らぎを合わせて計算したのが、ミランコビッチサイクルなのだという。
 ミランコビッチサイクルは、寒冷化の開始が間近に迫っていることを示しているのだ。・・・(中略)・・・。更に、時間の精度が上昇した現代の科学ではミランコビッチサイクルの節目が見えるようになってきた。
 現代の間氷期の始まりが、2万5000年前からかもしれないのだ。もし、2万5000年前に始まっていたとすると、地球はいつ氷河期になってもおかしくない時期にすでに突入していることになるのだ。
 グリーンランド氷床のコアの記録を見ると50年以内に7度Cの下降が起きるような急激な気候変動を地球は普通に経験している。私たちはこのような急激な気温下降に対しての対策を念頭に置かなければならないのだ。(p.96)
 学生時代に読んだ 『現代密教』 に書かれていた記述には、ミランコビッチサイクルとは書かれていなかったけれどまさにこんな記述だった。そこにも、現在の地球は氷河期に向かっていると書かれていた。

 

 

【寒冷化を乗り切る秘策】
 石油から電気エネルギーを取り出すのをやめて、石炭火力発電所を稼働させて電気を作るのはどうだろう。(p.179)
 石炭は石油に比べて世界の埋蔵量も多く、現在の状況から計算しても最低あと200年分の埋蔵量を持っているとされている。(p.180)
 著者は、寒冷化基調にある地球を前提として、僅かであっても温室効果のある二酸化炭素を排出する石炭によるエネルギー創出を提案している。
 福島原発の地震による故障で、世界は再び原発を忌避することだろう。それはそれでいいとしても、人類の未来には化石燃料しかないのだろうか? 石炭発電に関する日本の技術が進んでいるからと言って、何も昔の方法に戻る必要はないのではないかと思ってしまう。
 十年ほど前、深野一幸さんの著作が多く出回っていたけれど、そこに書かれていたような新たなエネルギーが生み出されるのではないだろうか。

 

 

【寒冷化のデメリット】
 もしも、地球が向かう先が温暖化なら、本質的な問題は海面上昇だけである。二酸化炭素が増えれば植物は繁茂し、人類の人口が増加し続けても食糧供給の問題は減少する。
 逆に寒冷化なら、露骨な食糧難が人類を追い込むのである。寒冷化問題=食料争奪戦である。世界中で難民が増え、略奪目的の国家間戦争が勃発することになるだろう。歴史上のゲルマン民族大移動やフン族の大移動は、当時の地球寒冷化によって、民族が食料を求めて玉突き現象的に移動したことによって起こったのである。現在は、当時より巨大な軍事力を持つ国家ばかりなのだから、地球全体の安定を維持する世界政府が出来ていなければ、地球全体が凄まじい状況になってしまうだろう。

 

 

【喫緊の問題は、寒冷化でも温暖化でもない】
 しかし、現時点の喫緊の問題は、温暖化でも寒冷化でもなく、意図的に世界の人口をコントロールするために、本気でパンデミックや戦争を引き起こそうとする勢力による “大いなる災い” を回避することにある。
 福島原発の被災は、日本(=福の島)の現在と未来の被災を象徴しているのだろう。これで終わったわけではない。むしろ始まりと考えるべきだろう。
 第二、第三の災いをもたらす天使たちがラッパを吹き鳴らす準備はできているのである。
 
 
<了>