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 読み終わってから、横帯の下側に 《『運命の貴族となるために』新装版》 とあるのに気づいた。ならば再読である。コンパクトにまとめられている著作なので大層よく売れた本だったのだろうけれど、自己啓発書としては、ありふれた内容である。2001年6月初版。

 

 

【確固たる目標の有無】
 確固たる目標を持たない人は、あらゆるものにダイアルを合わせて、結局何も得ることができません。彼らは実に不運な人たちです。何百万と言う相矛盾する考え方になすがままにされて、彼らの人生は混乱と苦しみでいっぱいになっているからです。(p.84)
 目的志向性が希薄だと、フォーカスしないが故に結像するという目標を達成できない。そのような中途半端な心的状況にあれば、様々な考え方に惑わされやすくなり、さらに中途半端なまま宗教団体にでも入信すれば、依頼心を神仏に代替させた御利益信仰に委ねることになり、その大切な人生を台無しにするのである。
 一方、確固とした目標を持つ人は、慎重にある一つのことだけにダイアルを合わせます。もし、お金が目標であれば、彼らはお金を得ます。地位が欲しい人は地位を得ます。こうした人がねらいを定めた目標は、達成されずにいることは決してありません。(p.85)
 確固とした目標こそが重要なのは間違いない。しかし、それで全てが整うわけではないだろう。

 

 

【マスターか奴隷か】
 宇宙の法則に目をつぶり、間違った考え方にしがみついている者は無知な人間です。だから、力ずくで無理矢理ものごとをやり抜くという時代遅れの方法を捨てて、思いによってやりとげる方法を学ぶことが、とても大切なのです。一方はマスターであり、もう一方は奴隷です。(p.92)
 宇宙の法則に則することがマスターの教えだといっているけれど、宇宙の法則って何?

 

 

【宇宙の法則】
 「そこかしこに、成功したり、偉大なことを成し遂げた傑出した人物がいる。そして、彼らのある者は、幸運の持ち主であるとか、天才だとか言われている。しかし、幸運や天才と言う言葉は間違っている。運とか天分は、実際には成功にはほとんど関係がない。実は、彼らは 『宇宙の法則』 を使っているのだ。本人がそれを承知しているかどうかは分からない。運とか天分よりも、自分のために宇宙の法則を十分に役立つように使っているかどうかが大切なのだ。知る者にとっては、これは明白なことなのだよ!」 (p.30)
 たいそう確信的な記述である。つまるところ 『宇宙の法則』 って、 『マーフィーの法則』 とまったく全く同じである。つまり、この書籍は、「マーフィーの法則」 の焼き直し版である。
 訳者あとがきに以下のように記述されている。
 あなたが本当の心、すなわち 「内なる心」 から仕事をするとき、あなたは個人を越えた無限の宇宙の助けを呼びさまし、受け取ることでしょう。 ・・・(中略)・・・ 。
 この本は 「たましい」 について書いてある本と言うこともできるでしょう。「内なる心」 はあなたの 「たましい」 ということもできます。この 「たましい」 は宇宙の力とつながっているのです。 (p.124)
 「マーフィーの法則」 に則して言うなら、「内なる心」 は 「潜在意識」 に相当する。しかし、訳者の山川夫妻は、アメリカの輪廻転生に関する様々な著作を翻訳している方だから、「たましい」 が輪廻転生の主体であることを意識してこう書いているはずである。ならばこそ、「マーフィーの法則」 の焼き直し版であるこの著作には、重大な欠陥があること気づくべきであろうに・・・・。
 その欠陥は、下記の読書記録の中に記述してある。
   《参照》   『超意識 あなたの願いを叶える力』 坂本政道 (ダイヤモンド社)

 

 

<了>