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 海外で撮られた写真が豊富に配されているこの本を見て、 『LOVE&FREE』 を思い出しつつ、出版社も同じであることに気付く。
 そして、この本の著者のプロフィールを読んで、2,3年前、テレビで紹介されていた人であることに思い当った。恋人の葬式で、遺影の額が曲っていたことに端を発して、サンクチュアリという葬儀会社を起こし成功している若者。台湾のバラック小屋で生まれたという生い立ちを隠すこともない。
 パワフルな本である。 2006年9月初版。

 

 

【直観の精度】
自分は一体何に対して、情熱をもてるのだろうか。

その答えは直観だけが知っている。

一生懸命考えたり、他人の基準に照らし合わせて見つけるものじゃない。
信じるべきは、自分のアンテナだけ。
心が動くものには、片っぱしから手を出す。何も考えずに挑戦し、参加する。情熱を持てるかどうかは、とにかくやってみないことには絶対にわからない。いろいろ試してみれば、いつか偶然の出会いがある。偶然の確率を上げるには数をこなすのが一番だ。直観を次々に試していくことで、自分の心に 「どう動くのか?」 「なぜ動くのか?」 という問題意識が芽生えるようになる。同時に、直観の精度もどんどん上がっていくだろう。(p.36-37)
 「直観の精度を上げる」 という表現に、ちょっと違和感があるようにも思うけれど、ちょっとしたヒラメキを試してみても、全てが実際に有効となることがないのは想像に難くない。であるから、著者の表現は正しいのである。
 但し、著者は、直観だけにたよって闇雲に行動しているのではない。日々の生活の中で、読書などを通じて、相当多くの時間を学びに費やし、常に自分の心を見つめる瞑想にも時間も割いている。
 巻末近くに、著者が行っている自分自身の管理方法が、「三種(時間・仕事・習慣)の神器」 として紹介されている。記述を読むと実に具体的である。具体的というのは明晰さの顕れであり、直観の精度を上げることにも絡んでいるはずである。

 

 

【自分のスタイル】
自分のスタイルには最大限の注意を払って欲しい。
 
 見た目や雰囲気も、自分の仕事を正当に評価してもらうための重要なファクターだ。

 
カッコいい自分でいたい。カッコいい生き方をしたい。ナルシストと言われてもいい。
普段から、鏡を見ながら自分にそう言い聞かせている。そして最高のコンディションにある自分の姿を繰り返し想像する。そのイメージに対して真剣であるほど、実際の結果もイメージに近づくだろう。もしも太ったり、たるんだりしてきたら、元に戻るまで自分に対して徹底的にダメ出しをする。途中であきらめたり、開き直ったりしない。
これは自分だけの問題ではなく、

 見た目を磨くことは、自分と関わる人たち全員に対する思いたりだ

と考えている。
現状に満足し楽をし始めると、人はいくらでも醜くなっていく。人生はハスの花。いつも美しく生きたい。(p.120-121)
 自己イメージにこだわらなくなると、自尊心が高まらないどころか崩壊する。自尊心の崩壊は、人生に関わってゆく上で最も大切な基幹部分の崩壊を意味する。
 「かまやつ女」 や 「カマヤツ男」 の致命傷はこれである。熱く生きることを放棄して、無駄に生きているのである。

 

 

【著者のプロフィール】
 1977年、台湾省台北生まれ。27歳で年商30億円企業の経営者。
私は台湾の “ゼロ番地” という地区で生まれ、バラック小屋で育った。
まるで洞窟みたいなところだった。後で知ったことだが、そこは旧日本軍が残していった防空壕の中だったらしい。
生まれたときから父親はおらず、生活はまさにどん底の状態だった。拾ったゴミを売って生計を立てる人たちが多いこの地区で、裸で水浴びし、近所をうろつく野犬と遊び、水や電気を盗む毎日を過ごしていた。いつも腹が減っていて、ときどき目の前を走るネズミを捕って食べようと思ったこともある。
戦時中ならともかく、これが日本経済が急成長を遂げていた1980年代のことだから、意外に思う人も多いかもしれない。

その頃の思い出はほとんど残っていない。

いまだに覚えているのは、母親が 「お金持ちも貧乏人も、みんな、同じご飯粒を食べている。与えられた時間もまったく同じ。おまえには膨大な時間が残されている。だから、できない理由を探す方が難しい」 とよく言っていたことだけだ。

日本にきたのは6歳のとき、母親が日本人と再婚したのがきっかけだ。貧しい生活から脱した私は、豊かな日本での生活に胸を躍らせた。
しかし、待ち受けていたのはひどい差別だった。 ・・・(中略)・・・ 。 (p.8-10)
 多くの日本の若者達、特にひきこもっているフニャフニャな若者たちに、著者のこの本を薦めたい。
 勿論、若いビジネスマンが読んでも大いに参考になるだろう。

 

 

<了>

 

 

≪この本は、台湾の元智大学に贈られた≫