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 今日まで発展してきた理論物理学や哲学の考えの欠陥を明確に示している。新しい科学的認識を示す著作である 『波動性科学入門』(大橋正雄・著) を学生時代に読んだことがあったけれど、この書籍ほど明確に分かりやすく記述されてはいなかったと記憶している。すばらしい著作である。2000年3月初版。

 

 

【形而上学】
 「形而上」 とその対立概念である 「形而下」 という言葉は、哲学関連の用語として、大学生なら一般教養で誰でも学んでいるはずであるけれど、科学の分野にこの用語を持ってこられると、やや違和感を覚えてしまう人が少なくないのではないだろうか。
 著者は、一般的に 「形而上学」 という用語によってイメージされているであろう世界を正している。
 現代の科学者がイメージしている形而上学という用語は、神学の侍女としての、正統教義による理論だけが先行した硬直化した中世的形而上学のようです。
 本来の形而上学は、宇宙を4次元以上から宇宙の根源までを自由なイメージによって構想する壮大な宇宙学なのです。(p.202)
 つまり形而上学は、単なる哲学用語ではなく、物理学によって当然のごとく対象とされるべき世界の学であるということ。
 このことを踏まえて、以下のように分かりかすく記述されている。

 

 

【形而上とゼロ】
 「形而下」 とは、三次元科学が対象としている 「見える世界」 のこと。
 これに対して 「形而上」 の世界とは、現在の科学の測定機器による観測にはかからない、すなわち数値は常に 0 の世界です。 「見えない世界」 のことです。この世界は4次元(空間)以上の世界です。つまり宇宙では、4次元以上になると、+か-の数値を全く示さない 「0」 の世界となって展開してくるのです。 「0」 こそが 「形而上」 の世界の数的表現なのです。 (p.34)
 この 「0」 の記述は重要である。別の個所では以下のようにも記述している。
 「0」 とは何もないことではなくて、+-が中和し、別次元である4次元のポテンシャルに変換されていること。(p.270)
 この記述は、仏教で言われる 「色即是空」 の 「空」 の説明と全く同じであるけれど、これを4次元以上の世界の在り方として明確に断言してもらえると、われわれ一般人にとっても、科学者にとっても、科学(特に理論物理学)の世界が非常に分かりやすいものになるはずである。
 この 「0」 に関する記述が、本書の 「鍵」 となって、詳細な記述が展開してゆく。
 私の見方は新しいミレニアムの科学の第一歩になると確信しています。すべての科学現象の根本原因は、形而上の、0 の見えない世界の、4次元(空間)以上の高次元の方にあります。そのためには科学を次元的に拡張し、同時に哲学的世界観を確立したいと考えます。ここから 「今とは別の科学」 が発展していくのです。(p.36)
 この後の物理学に関する記述にしても、2乗するとマイナスになる虚数を含んだ複素数の概念が分かる高校生であれば理解できるように記述されている。決して難解な著作ではない。

 

 

【重力の発生原因】
 重力の発生原因は今までの科学上の最大の難問といわれ、ニュートンもアインシュタインもこの問題を解決できませんでした。当然のことです。重力の発生原因は4次元にあるのだから、3次元の枠内でいくらあれこれいっても、永久にその原因はわからないのです。これを初めて解明したのが大橋正雄 『波動性科学』 です。(p.56)
 1801年の 『惑星の軌道について』 というヘーゲルの著作からの記述を引用した後
 おそらく重力に引力だけでなく斥力があるといった人はこの人だけでしょう。しかし、私はこのヘーゲルの考え方が正しいと考えています。ただ次元の明確な区別が必要です。「量的増減、たとえば吸引力が働く」 のは3次元での話です。「自己同一で不変」 というのは、じつは4次元におけるその状態なのです。(p.57)
 引力という作用は3次元で顕現するけれど、その反作用である斥力は4次元以上に顕現している。しかし4次元に顕現する斥力は 3次元の科学的測定では 「0」 となって測定されてしまうから重力の謎については不明のまま今日まできてしまった。
 しかし、今日では、+と-が打ち消しあったゼロ磁場のエネルギーが発生していることが証明されている。
 さて原子内の+-の拮抗・干渉による 0 の波が存在することが分かりました。その 0 の波は、原子が存在する限り、原子内の素粒子数に比例して(各原子の性質はそのまま残して)、原子空間から宇宙空間に向かって、「重力とは正反対の方向へ」 放射され続けています。4次元に変成された斥力としてのこの波は 「反重力そのもの」 なのです。(p.63)
 私にとって、反重力という言葉はSF小説の中などで語られていた言葉なのだけれど、その原理は上記のように説明することが可能である。
 言わずもがなのことであるけれど、UFOは反重力と距離に無関係な共振法則を飛行原理としている。

 

 

【4次元は波動の世界】
 この4次元は波動の世界であり、共振・共鳴の世界です。非物質の世界でポテンシャル(差)はありますが、0で質量が現象しない世界です。ここでは同調さえすれば、距離には関係なく、即座に共振します。(p.150)
 3次元は粒子性をもち「局所的」な現象を示すのに対し、4次元は波動性をもち「非局所的」となる。
 ハイゼンベルグの不確定性原理の中で語られる、粒子性と波動性という測定時の二重現象は、4次元が原因の世界となっているからこそ生じているということになる。

 

 

【フラクタルの原理を保証するもの】
 宇宙にはどんなに大きいもの、たとえば銀河系でも、小さな素粒子としての電子や陽子であっても、その一周のエネルギー値は常に約4×(10のマイナス15乗)Vなのです。この法則によって 「どんな大きいものも、小さいものも形や広がる角度が同じものは同形」 だという 「フラクタル」 の原理が保証されているのです。(p.90)
 この 4×(10のマイナス15乗)V という値はエネルギー換算表に記載されているプランク定数の値である。

 

 

【プランク定数が示す矛盾】
 エネルギー換算表にある、このプランク定数と、1単位のエネルギーの波長と、プランク定数のエネルギー、そして回転半径から、プランク定数の回転半径が計算できるのだけれど、その計算結果は 2×(10のマイナス43乗)cmになるという。ところが、
 現在の定説では、物質の極限は約10のマイナス33乗cmの 「プランク長」 で、これより小さいサイズの物質は、ブラックホールに飲み込まれてしまう。つまり、10のマイナス33乗より小さいサイズは宇宙に存在せず、ブラックホールの中と外では物理現象が全く異なるということになっています。(p.90-91)
 プランク定数に関するエネルギー値と波長から、全くの不整合が導き出されるのである。それをブラックホールという物理現象が異なる未知の世界に押し込めているのである。
 現在の科学者たちは、重力の本質もプランク定数の本質も、実は意味不明のまま用いているからこのような不整合に対応できていないということらしい。
 高校生のころ、物理の馬場先生がこういったことを話してくれたのを思い出した。
 科学者って根本的なところで結構 “いい加減” なのである。

 

 

【 虚数 i 】
 量子論のシュレディンガーの波動方程式には、必ず 「i」 (虚数) が出てきます。 i・虚数と実数とが一体化したものが複素数なのです。虚数 i とは 「2乗した値がマイナス」 となる数のことです。虚数とは物理的実体のない数学上の数だといわれていますが、私にいわせれば、はっきりと実体のある数なのです。
 ・・・(中略)・・・。 i とはここでは4次元のことです。(p.105)
 「虚数 i とは4次元を示す(!)」 
 このような明快な記述があるだけで、どれほど分かりやすくなることか。
 上述の引力の反作用としての斥力が4次元に顕現しているという重力の論理的整合性がこれによって可能となる。エネルギーは2乗で表されるから、4次元でのエネルギーはマイナス、つまり斥力(反重力)となっていることになる。

 

 

【反物質の世界】
 素粒子の世界には正物質と反物質とがあるから、原子に対して反物質でできている反原子が存在する世界があるかもしれないなどといっている学者もいます。そんなことはありません。反物質というのは素粒子レベルにしか存在していません。原子は反物質状態にある正反の素粒子のペアによってできた確固とした固体状の物質です。つまり原子は素粒子とは階層が違うのです。階層が違えばそれを支配する現象が異なる場合もあるのです。(p.135)
 このような割り切った断言も、あるとないとではだいぶ違ってくる。
 SF小説の中にあるような、反物質の論理的延長としての、反宇宙とかディラックの海のような幻想は萎んでしまうけれど、同一法則下にありながら現象の現れ方が異なることは、日常の中でも経験できることである。

 

 

【スピノール】
 スピノールとは、量子力学でいう電子や量子の自転(スピン)法則のことらしい。
 スピノールの場合は1回転するとマイナスの符号になり、さらに1回転しないと元のプラス符号には戻れないのです。ちょうどこれはメビウスの輪のように、真ん中で片方の輪が裏側を向くようにひねると、2回転しなければもとへは戻れないのと同じです。この 「奇妙なねじれ」 が素粒子の自転の法則なのです。(p.151)
 原子中の電子とプラズマ状態の電子では、同じ電子であっても、前者は360度の公転なのに対し、後者は720度のスピノールになるそうである。
 プラズマのような反物質状態では、このスピノール特性が表れるということなのだろうか。
 1回転ごとにとプラスとマイナスに変転することで見かけ上 「0」 となり、4次元の非物質世界へと通ずるということなのだろう。