《前編》 より

 

 

【挨拶しない日本人】
 数年前、成田空港に到着した 「エール・フランス」 機のフランス人スチュワーデスは、無言で降機していく日本人乗客たちに、ニコニコしながら根気強く別れの挨拶を日本語で投げかけていた。 ・・・(中略)・・・ 
 数ヶ月前、同じ成田空港に降り立った 「ドイツ・ルフトハンザ」 機のドイツ人スチュワーデスは、黙々と降機する日本人乗客たちを、まったく無言で見送っていた。
 日本人は挨拶しないことを知っていて、「別れの挨拶をしてもしょうがない」 と諦めているからだ・・・・と思う。
 挨拶をかけられてもそれに返す言葉を知らない日本人。
 日本に着いてその土を踏む前に、すでに日本が不思議に思う光景だ。(p.136-137)
 これはよくわかる。全く同感。
 日本人の海外旅行経験も頻繁になって、電車を降りる時みたいな感覚になっているのだろうけれど、日本人から一般的な礼儀が失われていることは確実である。
 おそらく日本に対して敬意をもってくれている国々はいくつかあって、エジプトはその中の一つだろう。エジプト政府が関与してくれているツアーの日本人の若者の団体客たちは、帰国時に空港でバスを降りる時、実に日本人的な礼節をもってするエジプト人ガイドさんの丁寧なお別れの挨拶に、誰ひとり挨拶を返していなかった。それを見ていた私は身のすくむ思いだった。

 

 

【シーッ】
 この頃日本で子供が騒いでいても 「シーッ」 と静かにさせる言葉を聞かないような気がするのだがどうだろうか? (p.139)
 著者が、新幹線の中で騒がしい子どもの親に協力をもとめたら 「ウチの娘にも 『騒ぐ権利』 があります」 と言われたそうである。唖然・・・というより・・・・憮然か。
 公共の場で騒がしい子供を黙らせるなど、躾として当然のこと。できないのは親がアホだからである。

 

 

【自分で判断する能力】
 「赤信号の守り方」 を例にして、
 「決まりを守るのはいいが、そのために自分で判断する能力を失ってしまう」
 と言ったのは、フランス人のサッカー・元日本代表監督、フィリップ・トルシエだったそうだ。(p.151)
 同感。
 中国で女性運転手のタクシーに乗った時、歩道に乗り上げてUターンするは、4車線道路で追い越す時にセンターラインを越え反対車線を逆走するはで、度肝を抜かれたことがある。しかし、そんなことを海外で何度か経験していれば、自己判断に自己責任が伴っていれば、いいのではないかと思えてくるものである。
 日本人は、概して、小学校低学年で教えられた 「決まりを守りましょう」 をよく守っている。そして、そこで自己判断する能力を失っている。つまりそこで、自分で考える力の発達も止まっているのである。
 最近、地方行政公務員のやり方に多く接して、この日本人の愚かさに、つくづく嫌気がさしている。「決まりだから」、「ルールだから」 が思考の起点であり終点なのである。徹底的に頭を使わず、徹底的に融通が利かない。つまり発展性がない。それで地方が活性化するわけがないだろう。
 大切なのは、市民にルールを守らせることではなく、市民のために臨機応変にルールを変容させることであろう。小規模な行政単位なのだからそれくらい細かなことができて当然である。
 こんな当たり前のことが分からないなら、できないなら、豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえ! と言いたい。そうは言っても元々タコ頭なのだから、豆腐の角だって崩れっこないことだろう。市民にブーブー言われても、エェ~~~って感じでさしたる反応はないのである。だからこそ痴呆行政公務員という。

 

 

【トイレの暖房】
 日本の便座には暖房が入ってる!! (p.162)
 トイレの室内全体が暖房になっているヨーロッパになれていると、こんなことに驚くようになる。電気コタツとか、ホットカーペットとか、日本人の暖房方式は、隙間風を防ぎきれなかった木造住宅文化から、局部暖房という省エネエコ様式である。
 私は、冬場には、50cm角の小さなホットカーペットを座布団の上に載せ、それを半分に折り曲げたものを紐で縛り足温器として使っている。いかなる市販の足温器より圧倒的に温かい。

 

 

【名前】
 明治安田生命の 「名前ランキング・ベスト100」 に、僕には男性名か女性名かわからない名前がゾロゾロ出ていた。 ・・・(中略)・・・ 。
 悠、優、千尋、光は、これまでの知り合いの中では男性名だったのに、「ランキング」 では女性名に入っている。別の知りあいの真央、有希は女性名なのだが、これらは男性名になっていた。
 ヨーロッパでは、「男性か女性かハッキリわかる名前をつけなければいけない」 と法律で定められている。また、似たような名前でも後尾の母音によって、男性名か女性名かの区別がハッキリわかる。
もちろん例外もあるが、「○○o」 で終わる名前は男性名。「○○a」 か、または「○○e」 で終わるのは女性名だ。日本語同様、男性名か女性名か区別がつかない名前もあるが、その際は男女がハッキリわかるセカンド・ネームをつけなければいけない決まりとなっている。(p.185-186)。
 ヤワで中性化した男の子と、ときにえらく逞しい女の子が出現している今日の日本の状況と名前は、強い相関関係にあることだろう。
 日本人の Shinya さんは、すっかり女性と思われていたという。
 だったら、「○○子」 さんは、全員男性と思われてしまうではないか。

 

 

【消費税率】
 「15」「16」「17.5」「18」「19」「19.6」「20」「21」「22」「24.5」「25」
 この数字は、ヨーロッパ各国の消費税率だ。
  ・・・(中略)・・・ 
 このようにヨーロッパは高税率だが、文房具・図書、食料品など、教育と生活の必需品の消費税は、国民生活のことを考えて5~10%と低くなっている。(p.196)
 おとなしい日本人の皆さんは、この事実をきちんと押さえておかないと、そのうち政府にいいようにあしらわれてしまうだろう。一律10%とか言ったら、思いっきりブーブー言うべきである。
 
<了>