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 高校生の頃クラスの誰かしらに借りて読んでいた人気連載漫画だから、もう数十年も前の作品である。ブックオフでレジに向かってマンガの書棚を通り過ぎたとき、ふと目に入って全巻買ってしまった。2002年にこのシリーズとして新装されたらしい。

 

 

【はいからさん:花村紅緒】
 大正時代が時代背景で、自立する女性の偶像としての主人公だから、紅緒ちゃんのいでたちは、矢絣の着物に袴で、足元は足袋と草履ではなく、編み上げのブーツである。
 近年、卒業シーズンに、これと同じいでたちの女子大生をみて、足元の不見識にちょっとムカついていたりもしていたけれど、既に漫画の世界では数十年前に先んじていたことを今更確認して、ちょっと当惑する。

 

 

【 「半ドン」 の語源 】
 当時、正午になると皇居前で大砲をうつ習慣があり、これを 「ドン」 といった。
 土曜日は 「ドン」 を合図に終業ということで、「半ドン」 という言葉が生まれた。 (④巻 p.97)
 へぇ~。
 
【えぇ~~~】
 連載されていた当時は、ストーリーが完結するまで全部読んでいたわけではなかった。まあ、なつかしいというか、大人げなくゲラゲラ笑いながら2日間もかかって読み終えた。
 酒乱童子は、もっと頻繁に活躍していた印象があったけれど、今読んでみると片手で足りるほどしか出ていない。
 牢屋主は女だった!!!。 当時は男と思って読んでいたからね。
 蘭丸は、現代で言うなら、早乙女太一なんだろう。でも現実の早乙女くんはちょっと大人になっちゃって、あの微妙なほっぺたのふくらみと可愛さが最近はもうない。そこいくと漫画は永遠です。

 

 

【ラブ・ストーリー】
 瀬を早み岩にせかるる滝川の、割れても末にあわんとぞ思う  (①巻 p.56)
 万葉集の中にある句。百人一首の中にも入っている有名な句。紅緒ちゃんの祖父と伊集院少尉の祖母、二人の叶わなかった結婚を孫の代で実現させるために、二人は許嫁になっていた。(世代を超えて繋がろうとする恋心って、ラブ・ストーリーの定番? 韓国でつくられた映画 『ラブストーリー』 の主旋律もこれだった)
 ところが、許嫁の伊集院少尉が、戦争中のロシアに赴いている時、よんどころない理由あってロシア人の妻とともに日本に帰ってきた。そんな場面での紅緒ちゃん、心の中で・・・。
 人をおしのけて自分が幸せになるのがいやだから・・・・ 
 だからこうなってあたりまえ  (⑥巻p.49)
 取り返そうとするより、人の幸せを損なうことを望まず引き下がる紅緒ちゃん。日本人的といえば日本人的。引き下がる美学とでもいうのだろう。でも、ミハイロフ夫人だって意志的な支配力を行使しているのではない。ヒトラーみたいな印念中佐を除いて、登場人物達はみんないい人ばっかである。 
 
<了>