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 起業を考えている人には、参考になる具体的事例に満ちた書籍である。神道とビジネスの親和性を語った日本文化論としても出色の書籍である。

 

 

【菱研はゲゲゲの鬼太郎一家】
 菱研の正式名称は、「菱法律経済研究所」 といい、著者を所長とするビジネスコンサルタント会社のこと。
 船井幸夫さんが、何年か前に言っていたのは、・・・・ (p.21)
 この書籍は第3版であるけれど、なぜこのような誤植が残り続けているのか信じがたい。講演録を活字に起こしたスタッフは、他のビジネスコンサルタント企業の超有名人の名前すら正しい漢字を知らなかったのだし、他のスタッフもこの書籍を全然読んでいないのだろう。
 この書籍の注文のため真昼間菱研に電話をした時は、明らかに “電話で起こされた“ という感じの寝ぼけた女性スタッフの声が聞こえてきたし、会費を滞納してしまった時の連絡には横柄な感じの男性スタッフがでて、状況を確認するための名前を伝えたら、PCに打ち込みながら名前を呼び捨てにしていた。
 菱研の会員なら、菱研は所長の一枚看板で成り立っているのは重々承知のことだけれど、誤植や電話口から聞こえてくる限りで菱研スタッフのレベルを推測すると、余りにも露骨に3流である。まさに所長が下記の著作の中で書いている中小企業の人材を象徴した 「ゲゲゲの鬼太郎一家」 らしい。ならば一層のこと電話に出る時は 「菱研です」 などと言わずに 「妖怪に何か用かい?」 とでも言ってくれた方がいい。
   《参照》   『これがわかれば会社は儲かり続ける』 深見東州 (たちばな出版)
             【無形の経営・中小企業の人事】

 

 

【 会社経営の 「5つの柱」 と 「志」 】
① 販売管理:上代(小売店における販売価格のこと)とコストに関与する荒利を念頭に置く。
② 労務管理:一致団結と適材適所。
③ 財務管理:会計を見て指針を出す。
④ 資金調達:売上が上がると、同時に経費もかかり資金がショートする。そのとき、たいていの企業は銀行からの短期借入金でまかなう。短気というのは一年以内のこと。商工ローンは最悪。不渡りを食らった時用に、中小企業倒産防止法があるから積立金をしておく。
⑤ 税金対策:呑気に構えていたら税金のために資金繰りに苦しむことになりかねない。 (p.24-28)
 販売管理、労務管理、財務管理、資金調達、税金対策も、「志を持ってやるんだ!」 という魂の発動がなければ身につかないですよ。志によって勉強の意欲に駆り立てられ、経営の5つの柱ができていくわけです。その志が萎えてしまった人間というのは経営者として失格だから、現役を退かなくてはいけない。(p.32)
 成功するにはいろんな要素が必要です。1つや2つではない。しかし、何が一番大事なのかと言うと志なんです。意志の力なんです。「断じて行えば鬼神もこれを避く」 (p.33)

 

 

【営業は絶対に社長】
 不得意だからと無精して、営業をお任せしますというのは間違っています。営業は絶対に社長自らがやらなければいけない。お金を取ってくる。売上をもぎ取ってくる、注文をもらってくる。これが会社で一番大事なんだから、それを人に委ねるというのはもう、はじめから天地の法則に合わない。最初から負けが決まっています。(p.79)
 起業を考えている人々の質問に応じて、人のタイプ、年齢、パートナー形態、分業形態など、さまざまな具体的事例を挙げて、個々に明確に善し悪しが記述されている。

 

 

【経営者の責任】
 一個、アイデアをポトンと生んで失敗。これ、ダメなんです。そうではなく、頭を休ませることなくつねに考えている自分であるかぎりは、会社をやっても成功するし、何をやっても成功する。それが経営者の責任、組織の長たる責任です。いついかなるときでも考えている。それができなくなったら放漫経営です。(p.104)

 

 

【ビジネスマンと神道は、あくまでも現実に即する】
 もし、こうあるべきだとか、こうあるのが本当じゃないかとか考えるようだったら、ビジネスマンではありませんし、神道精神に基づいているとも言えません。こうあるのが本当じゃないかというのはジャーナリストか、イデオロギーに偏した、観念の宗教家です。
 じゃあ神道はどうなのかと言ったら、あくまで現実に即した考え方をします。現実、リアリティ。生活の足元を見て、現実をよりよくするにはどうしたらいいのか、人々がより幸せになるにはどうしたらいいのか。どのように社会の中を生き貫いて、人も社会もよくしていくのか、幸せにしていくのか、繁栄させていくのか。これが神道とユダヤ教の共通点です。どうすれば家が、自分が、会社が、組織が、社会が、国家が繁栄するのか。その繁栄ということを考えたときには、イデオロギーや観念は一切、関係ない。(p.137)
 ビジネスマンは、先行き危ういと思われる日本国家のことを抽象的に憂えているより、現実の具体的な事柄に心を配りながら常に自分のビジネスに意識を向けるべきだ、ということになる。

 

 

【成功の極意】
 現実は矛盾の固まり、答えがない、ビシッとしていない、バラバラ。それをそのまま肯定して、愛して生かしていくということなんですよ、神道の考え方は。そして人情の機微をわきまえる。微妙なものがその矛盾だらけの人間を動かしているわけですから、人情の機微をわきまえていなかったら、人も社会も動かすことはできないですよ。人間は感情の生き物ですからね。味にしても環境にしてもビジネスにしても、微妙なものを体験の中から掴み取って、それを現実の生活に生かしていく。
 これが成功の極意です。(p.151)

 

 

【神道精神と経営】
 宗教家というのは本来、弱者の立場に立たなきゃいけないんだけど、神道の精神に基づいて、生活の中に生き貫いていく、社会の中で生き貫いていく、ものごとを成し遂げ成就していくということになると、単に弱者の立場に立つだけでは到底、不可能です。(p.133)
 中でも神道は、弱者を励まし、弱者を救済しなければならない要素ももちろんあるんだけれど、でき得るならば弱者になんかなることないじゃないか、と。強者になれ、と。強者になって、弱者をも救ってあげることのできる、理想の人になったらいいわけですから。(p.143)
 こういう人を導いてくれるのが、毘沙門天さんとか・・・中略・・・。
 毘沙門天、ああやって天の邪鬼を踏みつぶしていますけど、その真の姿は人々の守り神でしょう。不動明王もあんな顔しているけれど、ものすごい意志の力、剣の意志の力で悪を抑えているわけでしょう。剣は意志の力、炎はエネルギー。意志とエネルギーが満ちていますよ、あの不動明王は。毘沙門天なんかでも足でこうやって悪を懲らしめている。これが現実界に生きてくる仏様。(p.143-144)

 

 

【神様を信じている人間は・・・】
 勝ったら、その資金力、人材力、組織力でいたわってあげればいいんですよ。負けたら、何を言っても負け犬の遠吠えなんです。遠吠えさえできなくなってしまった人は、宗教が励ましてくれるでしょうけれど、宗教の前にあるんですから、神様というのは。
 宗教というジャンルンは弱者を励まし、敗者を救済するんですけど、神様というのは宗教ではありません。宗教も含んでいる。芸術も含むし、宗教も含むし、科学も含むし、現実界というものをおつくりになり、善も悪もおつくりになったのが神様なんです。だから、神様を信じている人間は、現実がクリアに見えなければいけないんです。(p.154)
 “宗教 = 神様・仏様“ と思い込んでいた人は、この記述を読んで、目から鱗が落ちるはず。
 
 
<了>