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 ハウツーもののような書き方なので、有機的な関連は希薄で “読書の楽しみ” が得られるような種類の本ではない。人間の改造と原理の法である密教のメカニズムを知っている者にとっては単なる駄作に等しい。
 タイトルに関わるポイントは、「できるだけいつもと違った経験をして、脳に異なった刺激を与えること」 というありふれた結論。

 

 

【若者のど忘れ傾向】
 若い人にど忘れが増えてきているというニュースを最近よく耳にしますが、これはもしかすると、いまの若い人たちがマンガやテレビといった受身の情報にどっぷりと浸かった生活をし、実体験の乏しいことの表れなのかもしれません。 (p.39)
 マンガやテレビをいくら見たって、エピソード(思い出)にすら成らないような情報が殆どである。特に最近のテレビは、有機的な関わりの無い刹那的・断片的な情報の羅列に過ぎないような番組が多い。この書籍といい勝負である。

 

 

【一目惚れはフェロモンの匂い?】
 鼻の中にヤコブソン器官という匂いを感知するところがあります。一目見て好きになる場合、ここで、ある特定の匂い、いわゆるフェロモンのようなものを感じ取り、反応してしまうそうです。
 目の前の男性(あるいは女性)を一瞬で好きになるのは、心がその人の持つ何かによって揺り動かされ恋をしてしまったと想いがちですが、そんなことはなく、実は特定のフェロモンにあなたが反応して、「好きになった」 という実感を持たされているだけなのです。
 そう、つまり、揺れ動いた心とは、単にその男性のフェロモンに反応していたに過ぎなかったわけです。(p.75)
 この解釈は100%正しいとはいえないだろう。写真や画像で見ただけでも、ハッとすることはありうる。視覚的な外見とフェロモンとの間に有意な相関が認められるというのなら別であるけれど。
  《参照》  『ひとめぼれの法則 - 顔からはじまる運命の恋 - 』 スジー・マリン (小学館プロダクション)

 

 

【映画館で左右どちらの席に座るか】
 面白い研究があります。ブルガリアの研究者が、映画館に入る人の流れを調べました。・・・(中略)・・・。明らかにスクリーンを見て右側の座席に人気が集中しました。・・・(中略)・・・。これは画像処理を行う右脳は、左側のものを先にとらえるので、無意識のうちに右側の席に座ってしまった結果です。 (p.112)
 これは体験上からも理解できる。同じ映画を、左右反対側の席で見たとき、かなり異なった印象に感じられたことに自分自身ビックリしたことがある。左側の席に座ると映画の印象が鈍ってしまうのだ。

 

 

【朝食抜きの悪影響】
 デンマークの研究では、一日の必要摂取量の25パーセントを朝食で摂取すると、計算能力・想像力が高まったとしています。ほかにも朝食抜きの子供ほど成績が悪いという研究結果もあります。 (p.129)
 文武両道の進学校として有名な桐蔭学園では、「お母さんの作った朝食を食べてくること」 を、家庭を含めた根本的な指導要綱にしている。 朝食 + ビタミン愛 である。

 

 

【「英雄色を好む」の科学的根拠】
 ドーパミンが分泌されると、うれしいとか楽しいとかいう感情が生まれます。さらにドーパミンの分泌は、脳神経細胞を発達させ、ネットワークを広げる効果もあります。
 ドーパミンがやる気ホルモンなどといわれるのもこのためです。 (p.155)

 じつは、ドーパミンの分泌には男性ホルモン(テストステロン)も関係しており、何かを達成しようとしたときにはテストステロンが増えることがわかっています。仕事ができる人は女性関係も多いというのは、こういったことも関係しているのかもしれません。 (p.156)
 男性ホルモンの分泌量の多寡は、先天的な違いによっている。生まれたときのホロスコープ(星の巡り)で分かるのである。テストステロン分泌量の多くない人が、ドーパミンを分泌させ続けるには、達成可能な目標を常に掲げて実現し続けることが大切。達成したという快感がない状態が続くと枯れてしまう。 “やる気” を維持するには、「目標達成能力」 よりも、コンスタントに達成可能な 「目標設定能力」 を持つことがポイントかも。
 
<了>