ハーバードでMBAを取得したという著者の著書なので、あくまでもアメリカ流の考えである。だから全ての記述を鵜呑みにする気は毛頭ないけれど、できるだけ偏見は持たずに著者の記述に則して理解するよう心がけるのが、読者としては大切なスタンス。
【2流の人材は3流の人材を採用する】
著者の記述に則するなら、項羽は、能力面では圧倒的に秀でていたとしても平均点はやはり7点で、劉邦の平均点は10点に近いということになるのだろう。
【2流の人材は3流の人材を採用する】
平均もしくはそれ以下とは、能力、素質、経験、態度、行動の面から10段階で評価したときに、せいぜい7点しか付けられない人材のことである。
そして7点の人材は5点の人材を採用する。7点の人材が9点や10点の人材を採用することはない。彼らが自分より優秀な人材を採用することはないのである。なぜなら優秀なライバルを本能的に恐れたり、比較する相手の登場に不安を感じるからだ。場合によっては優秀さを見落としてしまうかもしれない。 (p.19)
自らの才を恃んで覇者になろうとしても成れなかった項羽と、自らが有さぬ力を才ある人士を集めることで補い覇者となった劉邦。個人の才能に依存した “戦力” より、衆智を集める “和力” の方が数段上である。そして7点の人材は5点の人材を採用する。7点の人材が9点や10点の人材を採用することはない。彼らが自分より優秀な人材を採用することはないのである。なぜなら優秀なライバルを本能的に恐れたり、比較する相手の登場に不安を感じるからだ。場合によっては優秀さを見落としてしまうかもしれない。 (p.19)
著者の記述に則するなら、項羽は、能力面では圧倒的に秀でていたとしても平均点はやはり7点で、劉邦の平均点は10点に近いということになるのだろう。
【人材育成のための時間配分】
あなたが管理職として働く時間は、優秀な部下のために使おう。業績の70%~80%は、上位10%~20%の社員により生み出される。管理や研修、コーチングに使う時間の60%はAクラスの社員のために、30%は高い潜在能力を持つ人たちのために充てよう。業績の悪いCクラスやDクラスの人材のためには10%の時間を当てれば十分である。 (p.75)
パレートの法則に沿った合理的な戦力システムの考え方であるけれど、日本の組織にこれが相応しいかどうかは別問題である。
【管理もルールも必要としない人間】
ルールを暴走させてはならない。管理屋をはびこらせてはならない。膨大なルールは、自分で考える力のない無能な人間が集まっていることを表す危険信号なのである。正しい上司は、管理もルールも必要としない人間を採用する。これが経費と時間を節約するテクニックなのである。
モラル(道徳)は具体的に数値化しにくい因子なので見落としやすいけれど、経営に関わって、厳然たる影響力を持つ因子である。これを蔑ろにするようでは如何ともしがたい。企業であれ国家であれ、長期的な繁栄を定める最重要因子は道徳レベルであると、日本人は当然のごとく知っているはずである。
【幸運とは・・・】
成功する前に途中で止めてしまう人々って、そうすることで人生における不成功(敗北)を自ら選んでいることになる。なのに 「運が悪い」 と言う。そう言う資格はない。
幸運とは、クジ運のことではない。最後まであきらめずに熟考し、情報を集め、研究を重ね、準備をしたうえで、計算されつくしたチャンスを掴むことが幸運なのである。
幸運とはカジノで負けが込んだときにすべてのチップをルーレットに賭けて収支トントンまで持ち直すことではない。幸運とは仕事を辞めないことであり、もう一度挑戦することであり、あと一ヶ所に営業に出かけることである。 (p.132)
「幸運とは成功するまで続けること」 と、松下幸之助さんをはじめとする数多の企業人が言っている。企業人はそれほどまでに多くの失敗と、それを贖う成功を経験してきているから、強くそう認識しているのだろう。幸運とはカジノで負けが込んだときにすべてのチップをルーレットに賭けて収支トントンまで持ち直すことではない。幸運とは仕事を辞めないことであり、もう一度挑戦することであり、あと一ヶ所に営業に出かけることである。 (p.132)
成功する前に途中で止めてしまう人々って、そうすることで人生における不成功(敗北)を自ら選んでいることになる。なのに 「運が悪い」 と言う。そう言う資格はない。
<了>