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 私は受験生などではないしましてやその保護者でもないけれど、最近テレビで見ているCMに触発されて、この本を読んでみた。


【テレビCM】
 最近、関東圏で流されているテレビCMである。
 かつてない、とんでもなく型破りなCMである。
 すべて苑長(著者)が作ったというこのCMには、2パターンあるらしい。
 <3原人・シリーズ> と <ルネッサンス・シリーズ> である。
 見事なメイクと衣装の原人や偉人たちが、以下のセリフを言っている。
 

 <3原人>                 
 英語がデキン原人
 暗記で苦労マニヨン人
 受験で悩んデルタール人
 みすずに来れば合格ダーWIN          
 怒涛の合格、怒涛の合格、怒涛の合格 みすず学苑 


 <ルネッサンンス>

 英語がわかランジェロ

 受験ダピンチ

 あの大学にラファエロ

 みすずで受かるネッサンス

 怒涛の合格、怒涛の合格、怒涛の合格 みすず学苑

 

  『蜥蜴』  の著者でもあるから、このCMも十分納得できる。

  YouTubeを「みすず学苑」で検索すればいろんなCMが見られる。

 

 

【受験地獄か?】
 本当に受験は、ネガティブなものでしょうか?
 私は天台宗や禅の研究を始め海外での企業経営や文化活動、さらには能、オペラ、美術などの芸術活動を幅広くしていますが、原点は大学受験予備校の校長です。若者の教育活動から始まったのです。28年前、大学を出て間もない私は、日本人の生き方として、国家神道ではない素朴は神道や禅の精神が、困難を明るく乗り越え、宗教教義にとらわれることなく、自由闊達で伸びやかなる哲学であることを知りました。
 この哲学に基づき、ビジネス化された予備校に、良心的で真心がこもり、明るさと元気が出る古き学舎精神の「みすず学苑」を設立したのです。無論、一切の宗教活動などありません。あれば、30年近くも存続するはずがありません。
 私も受験では、本当に苦労しましたので、受験生の気持ちが痛いように分るのです。
 ・ ・・(中略)・・・。
 難関校に続々と合格し、生徒や私たちの喜びは無上のものとなったのです。卒業後も訪ねて来る多くの生徒は、今も「あの受験を通して自分は生まれ変わった。目標を持つことや努力の大切さを知った」といいます。このことは、教え子に共通するものでした。
 私はそれこそが、本来のあり方だと思うのです。  (p.14-16)
 公立高校には、目標の持ち方、努力の仕方を連動させて具体的に示してくれるような教員はほとんどいないだろう。日教組の日本教育破壊工作が見事に結実して、今日の彼らは教員ではなく単なる公務員である。
 もっとも教員の公務員化は英国でも同じらしい。
 彼らと公立高校の議論になると、「公立高校の先生のやっていることはレッド・テープ・ジョブの見本のようなものだ」 という決まり文句が飛び出してきます。レッド・テープ・ジョブは、英国では公文書を縛るのに用いた赤いテープから転じた言葉で、英国人は 「能率の悪いお役所仕事、あるいは官僚的仕事」 といった意味合いで使います。 (p.103)
 

【教師としての合格ライン】
     「教える技術」 「愛情と情熱」
Aクラス    あり      あり
Bクラス    あり      なし
Cクラス    なし      あり
Dクラス    なし      なし
 率直に言わせてもらえば、CとDに属する人は、教師としては失格だと考えているのです。・・・(中略)・・・。教師の本分は、分りやすく勉強を教え、そのことを通じて、子供たちの学力、物を見る目や心を見開かせることです。いくら愛情と情熱があっても、教える技術がなければ、その本分は全うされません。
 付け加えれば、そうした先生の愛情や情熱が本物ならば、・・・(中略)・・・、教え方を磨くのが本筋です。技術が伴っていないのは、本分を忘れた怠慢教師である、としか言いようがありません。  (p.29-31)
 しかり。
 学校も会社と同じであらざるをえない。
 金八先生は実在しても技術がないなら失格ということになる。
 因みに、チャンちゃんはDクラスの社会人であるから、明日がない。

 

 

【教育の第一義】
 やはり学習、勤勉、努力に教育の第一義を置き、勉強熱心で努力家の子供を育てる教育こそが、国家(文科省)の仕事だと思っている。それが欠けていることが、今の教育の一番大きな問題だと思いませんか。 (p.67)
 著者も、創造性ばかりを語る “ゆとり教育” を推進してきた先頃までの国の教育方針を批判している。
 (この書籍の初版は2005年)
 10代は、創造性を発揮するための「土台作り」が必要な年代なのである。
 真剣に教育を考え、現場で真摯に実践してきた人々は、著者と同じ考えに収斂してゆく。


【英語教育について】
 私が指摘したいのは、授業数を減らしたうえに文法より英会話を重視するのは将来、高いレベルの語学習得は不可能という点です。早稲田大学の例ですが、英会話に不自由しない何人もの帰国子女が英語の外書購読で単位が取れずに、中退してゆく学生がいる事実もあります。その原因は、共通して高いレベルの読解や英文法ができないためだそうです。 (p.149)
 日本という国家の生命線が何処にあるのか分っていれば、方針は定まる。

 

 

【私立文系を受験する場合の科目選択】
 参考までに、私立文系を受験する場合、世界史や日本史に替えて、数学を選択した方が非常に有利と言われています。
 日本史などは、マニアックな問題が出題される割には受験者の平均点が高いのに対し、数学はマニアックな出題はまず有り得ませんし、概して出題レベルは平均的なので、合格できる可能性がグッと高まるのが実態です。数学に抵抗感のない人は、念頭に入れておくといいでしょう。  (p.163)

 

 

【家庭教師とは浮気も可】
 受験生がこの時期になって問題集や参考書の浮気をするのは禁物ですが、家庭教師に関しては例外です。より柔軟に家庭教師を代えるか、予備校などへ進路を変更することも一考です。  (p.201)
 ならば、もっと綺麗なお姉さんに家庭教師になってもらって・・・楽しく・・・、えつ、そうじゃない?

 

 

【やる気のない受験生対策】
 やる気のない受験生が増えてきた理由はいろいろ考えられますが、最大の理由は、目的意識の低下です。何のために大学進学するのか、がはっきりしていないのです。別の見方をすれば、人生を考える力が衰えてきているともいえます。  (p.247)
 その一つの解決策は、各界でトップリーダーとなった人々の評伝を読ませること、と書かれている。
 受験生が抱えている様々な問題に対して、具体的にどうするべきか十分な備えがあることを知って、自己流であった自分の受験時代の危うさを今更ながら大いに実感してしまった。

 

 

【蛇足】

 著者は、経営コンサルタント会社も経営している。 チャンちゃんはそこに個人会員として属していた当時、著者のセミナーに出ていたから、この書籍の中で最も重要なポイントとなる箇所は、既に何度か聞いていた。それゆえ、今のチャンちゃんにとっては真新しい内容ではないので、ここには書き出していない。
 受験生や保護者にとっては、事前に購入して読んでおくだけの価値がある有意義な内容の書籍である。
 
<了>
 
   《参照》  深見東州・著の読書記録