イメージ 1

 海外を含めた食文化という視点で読んでみたかったのだけれど、それに関しては一般的なこと以外にとりたてて記述されていない。CI関連事項が主要な目的で記述されているらしい書籍。1992年出版。

 

 

【味の素】
 主力商品といえば、「味の素」 より 「ほんだし」 の方が売上が上なんです。 (p.75)
 社名であり商品名でもある 「味の素」 の化学名称はグルタミン酸ソーダ。
 下記のリンクを注意深く読んでおくように。

   《参照》  『この地球を支配する闇権力のパラダイム』 中丸薫 (徳間書店) 《前編》

            【DNAの働きと、これを傷つけるもの】

            

 

【技術革新による危機】
 このうまみ成分であるグルタミン酸ソーダの製法に関して、重大な危機があったという。味の素がやっていた間接発酵法に対して、協和発酵が直接発酵法を開発したのだという。
 この技術革新への対応は、市場における技術とコスト競争になったのです。(p.81)
 と書いてあるのだけれど、この危機をどう乗り切ったのか、その後の具体的な記述はない。
 この本には、このような読者をいらだたせかねない記述が多い。文章全体にわたって小幅ながら飛躍が多く、さっと読んで何を書いているのか分からないような記述が多いのである。
 

 

【カルピスとの提携】
 カルピスとの提携では、めざましい成果が上がりました。・・(中略)・・味の素も飲料部門を、そっくりカルピスの中に入れてしまったわけで、この大英断はすごかったですね。 (p.74)
 こんな提携が行われていたなんて意外だったので書き出しておいた。
 カルピスが味の素の飲料部門に入れられなくてよかった。そんなんで “ほんだし味のカルピス” なんかが出来たりなんかしちゃって。絶対にゴチソウサマですからね。
 

 

【マヨラーを作ったのは味の素?】
 キューピーはマヨネーズ一筋に生きてきた企業で、長年にわたって他の追随を許さなかった。
 当時、実に市場の90%を占有する勢いであったうえに、キューピーは味の素にとってグルタミン酸ソーダの大口需要先、つまり大の得意先でもあったのである。 (p.116)
 そんなキューピーの独壇場に乗込んでいった味の素。その時、キューピーはショック死しそうになったのではないだろうか。さもなくば、永遠に大きくなれないキューピーのままであることを覚悟したに違いない。「マスコットどおりの社運だよ~」 とか納得してたりして。
 味の素はまず、基本的な消費者調査を徹底的に行った。・・(中略)・・。結果的には需要を新たに掘り起こして、市場を拡大させたのである。・・(中略)・・。この間に市場規模は4倍になった。 (p.118)
 つまり、何にでもマヨネーズをかけたがる今日のマヨラーを創出したのは、味の素の戦略的成果だったということなのだろうか? 
 マヨラー・ママに餌付けされた子供って、フニャフニャプヨプヨの体形になりそうな気がする。味の素は子供デブの創出にも貢献していたりなんかして。だとしたら 「もっと子供の健康を考えて」 と言いたい。
 

 

【経営理念は「共生論」】
 平岩外四・経団連会長(東京電力会長)は、万巻の蔵書を持つ非常な読書家である。その平山が一番好きな言葉は、「人はタフでなければ生きていけない。しかし、優しい心を持っていなければ生きている資格はない」(レイモンド・チャンドラー)なのだそうだ。
 タフで優しくて、しかも研究熱心な(味の素)名誉会長相談役の歌田勝弘が(経団連副会長)に選ばれたのも偶然ではあるまい。
 歌田の経営理念は「共生論」である。(p.62)
 日本の中小企業の社名を調べてみれば、共和、共栄、協和、協栄、といった単語を含む社名が一番多いのではないだろうか。人間社会、共同体社会を長期にわたって安定させるのが 「共生」 である。
 そういえば、グルタミン酸ソーダの直接発酵法を編み出したライバル会社の名前は、協和発酵だった。協和発酵が味の素に 「協和=和合」 してくれてたりなんかして・・・。ライバルが 「協和」 でよかったじゃん。
 

 

【ちゃんと、ちゃんとの味の素】
 味の素のCMに、「ちゃんと、ちゃんとの味の素」 というフレーズがある。このことばに象徴されるように、味の素ほど折々の時代への対応に、「誠実に」 努めてきた会社は少ない。 (p.64)
 チャンちゃんは子供の頃、このCMを、「ちゃんと朝ごはんを食べなさい」 という意味で聞いていたから、今これを書きながら失笑している。でも今、「誠実に」 という意味があったことを、ちゃんと理解しました。今は大人だから、ややまともな理解力、あります。
 
<了>