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 この短編小説は、妻夫木聡・長澤まさみ主演の映画「涙そうそう」になんとなく似ている。登場人物の構成もストーリーも雰囲気も沖縄方面が舞台であることも。
 

 

【キジムナー】
 ガジュマルの樹の精霊とか妖怪とか、いろいろいうけど、幼くして亡くなってしまった子どもが姿を変えたものという説もあるさ。まぁだ、遊びたりなくて、それでキジムナーになって遊んでいるのかもしれないねぇ。 (p.16)

 

 

【ソランミ】
 ソランミとは、遠い昔、ちゅら島にいたという幻の鳥だった。ちゅらの海から生まれたかのような鮮やかな碧色の羽に全身が包まれていたので、“ソランミ(空の海)”という名がついたのだ。 (p.33)

 この小説の主人公は2人の男の子の兄弟と一人の少女である。この子ども達に関わるストーリーが意図している小説世界も素晴らしいけれど、異界と人間界を繋ぐ象徴のような、キジムナーやソランミを巡って展開している物語によって、私は、何かしら純化した世界に、誘われそうになった。
 沖縄のそばに久高島という神霊の住む神の島があるけれど、この島がモチーフになっているのかもしれない離島独特の不思議な物語が、子どもの卓抜な推理による解釈として興味深く語られてもいる。
    《参照》   『なぜ日本中枢の超パワーは「天皇」なのか』 中丸薫・ベン・アミー・シロニー 《後編》
              【悠仁親王誕生の秘話】

 もう一度、静かに読みかえして、キジムナーとソランミが誘う世界に捉えられてみたい小説。

 
<了>