「価値観の違い」 誰のために、何のために戦うのか? | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

「価値観の違い」 誰のために、何のために戦うのか?


サッカー人生獲得メダル2014年まで!


 

 これまでのサッカー人生で獲得してきたメダルたちです(確か他にも獲得したメダルはあったような気がするのですが、無くなったりしたので、一応、今、手元にあるもののみです…)。

 中央の唯一の「」メダルは、2011年に所属していたアルビレックス新潟シンガポールにて、リーグ杯に「優勝」して獲得したもの。この優勝は「クラブ創設以来、初タイトル」「海外トップリーグ所属日本クラブ史上初タイトル」「アルビレックス新潟史上トップリーグ初タイトル」…となり、今でもその「歴史の当事者」となれた事に、誇りを感じています。※当時の事を詳細に書いたブログは!⇒【通過点

 向かって一番右の「」メダルは、2013年に所属していたレアル・ソシエダにて、ホンジュラスリーグに「準優勝」して獲得したもの。チームは自身が加入する前の前期に最下位に低迷し、1部昇格1年目である事から「降格候補筆頭」と呼ばれていましたが、自身が加入した後期は飛躍的な躍進を遂げ「リーグ最少失点」と「ホンジュラスリーグの50年間の歴史上2チーム目の昇格1年目に準優勝」を達成。治安が世界最悪レベルのホンジュラスに、実に7年ぶりに戻る一大決心をして臨んだ「命懸けの挑戦」を経て成し遂げた歴史的快挙。これまで獲得してきたメダルの中でも、個人的に一番、思い入れがある、自分にとって「最も価値のあるメダル」と言っても過言ではありません。※当時の事を詳細に書いたブログは!⇒【おとぎ話の「結末」。決勝・第2戦。VSオリンピア。アウェー


 1つ1つに自身がこれまで歩んできたサッカー人生の軌跡と歴史と魂が詰まった、とても大切なメダルたち…。


 僕はこの大切なメダルたちを、実家の部屋の壁にかける事にしました。これを見ると「これからもメダルを獲得してやる」「もっと金メダルを獲得してやる」というモチベーションになりますし、何より「家族もこれを見たら喜んでくれるだろう」と思ったんです。

 
 ところが…。


 これを見た父の反応は、意外なものでした。




 「メダルを壁にかけるな。壁が傷んだらどうするんだ」




 …怒鳴られました。正直、ショックでした。別に他人にどう思われようと全く気にしませんが、家族に理解されないのだけは悲しいものですね。


 僕はホンジュラスを始め世界各国で戦う時、常に「家族のために」という気持ちを持ち続けてここまでやってきました。自分が活躍し、W杯に出場すれば、きっと家族も喜んでくれるだろうと…。

 しかし、どんなに僕が命懸けの挑戦をして獲得したメダルを遠い異国の地から持ち帰ってこようと、「息子には日本で安定した職に就いて欲しい。そして、できれば億万長者になって楽をさせて欲しい」と考えている親を喜ばせる事はできない…。こんなメダルよりも、億万長者になって帰ってくる方が、よっぽど親を喜ばせる事ができるでしょう。
※4年前「一体、何をする事が『恩返し』になるのか?」について深く考え、【「恩返し」の定義とは?】というブログを書いた事もあります。結局、恩返しとは「お金」なのかと…。

 父が言ってる事は間違っていません。壁を傷付ければ、家を出る際に壁を張り替える必要が出てきて、そのためのお金もかかります。全くもって、正しい。ただ僕は、それを予め分かっていたので、壁を傷付けない特殊な粘着テープを使用していました。…が、父の発言後、僕はメダルを全て壁から取り外し、誰の目にも付かないタンスの中にしまう事にしました(もちろん、取り外しの際も壁は一切、傷付けなかった事は明記しておきます)。


 この話を見ても分かるように、いくら「家族のために」と思って魂込めて戦って結果を出しても、自分と家族の「価値観」が違えば、例え「家族のために」と思ってやった事でも、結局は全く家族のためにはならないのです。淋しい世の中ですね…。




 同じような事は、U-20ホンジュラス代表GKコーチを解雇になった時にも感じました。

 どれだけホンジュラスの事を愛し、「ホンジュラスのために」と思って全身全霊を注いで結果を出していても、ある日、突然、何の前触れもなく、理不尽に首を切られます。


 「カープのために」とカープ愛を貫きFA権も行使せずカープに残っても、活躍しなくなったら誰も見向きもしません。これが現実。プロの世界ではよくある事です。



 だからこそ、最近、よく思うんです。「誰かのために、何かのために…と思って戦う事に、どれだけの意味があるのか?」と…。

 もちろん、家族を含めてお世話になった多くの人たちに「恩返しをしたい」という気持ちは常にあります。けど、僕が今、世界中で行っている活動は、世間一般の人の「価値観」とはまるで異なる…。つまり、いくら僕が「自分の信じる道」で結果を出したところで、家族を含めお世話になった人たちを喜ばせる事はなかなかできないし、恩返しにはならない事が多いのです。


 であれば、「誰かのために」とか「何かのために」などとはあえて考えず、とにかく自分の目標と夢を実現するためにという気持ちだけで戦った方がずっと良い。それが「結果的に」誰かのためになったり何かのためになったりするなら、それはそれで良いですが、基本的には「自分の目標と夢を実現するために」という気持ちだけで戦っていくべき…。そう、改めて思いました。
 
 誰に何と言われようと、これまでの人生同様、自分の信念は決して曲げません。僕の中には「人生において最も大切なものは家族」という哲学があります。しかし時には、その「最も大切な家族」を犠牲にしてでも、叶えなければならない目標や夢があるんです。そもそも、何かを得るためには、他の何かを犠牲にするくらいの覚悟がないと得られないんです。1年9ヶ月間にも及ぶホンジュラスでの挑戦でも、僕は多くのものを犠牲にして戦ってきました。家に帰ると家族も友達も誰もおらず、世界一危険な国で、常にたった1人、孤独でした。それが耐えられなければ、夢の実現など到底、不可能でした。

 いつか誰かに認めてもらいたい?他人に理解されたい?そのような気持ちは、一切、ありません。

 安定した職に就いて他人に認められる。理解される。そんなものを僕は求めていません。どんなに安定してても、自分が幸せだと感じられない人生なら、何も意味がないんです

 自分は一体、何のために戦うのか…?何のために生きるのか…?その答えは、ただ1つ…。幸せを感じるためです。

 日本で働いていた時の方が安定していました。治安も良く安全でした。便利な物も溢れ返っていました。しかし複雑な人間関係などもあり、僕は全く「幸せ」を感じる事ができませんでした。

 ホンジュラスで働いていた時は、給料未払い問題は起きるし、治安も世界最悪レベルで常に身の危険を感じる生活でしたが、僕は心からの「幸せ」を感じていました。だから日本を離れて、遠い地球の裏側・異国の地・ホンジュラスでの挑戦を続けていたのです。


 来年は自分にとって「どこが」幸せを感じる場所になるのか?まだ決まっていませんが、考えるとワクワクしてきます。


 来年も僕は「笑顔」で「幸せ」を感じる人生を、魂込めて生きていきます!!!!!



※GKコーチになってからの公式パスたち(一部)。これも壁にかけていたのですが、全て取り外しました。ちなみに向かって一番右の「HONDURAS」は、U-20ホンジュラス代表GKコーチとして、U-20ニュージーランドW杯2015の中米予選に参加した時のもの。名前が…。この「伝説」に関しては、詳しくはこちら!⇒【W杯予選の「裏話」。 ① これで流れが変わった!?

ID2014年まで!





◆連絡先メールアドレス: cafehondurasyoji@hotmail.co.jp



facebookフェイスブック(誰でも閲覧可能!)やじるしYoji Yamano/山野陽嗣



ツイッターツイッターやじるし@yoji_yamano



メラメラブログその1やじるし「26歳」からのプロサッカー人生!山野陽嗣の「笑顔」で不可能を「可能」にするブログ