致命的ミス。第12節。VSデポルテス・サビオ。ホーム。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

致命的ミス。第12節。VSデポルテス・サビオ。ホーム。



【ついに出た「解雇」宣言。明日なき戦い。第11節。VSレアル・エスパーニャ。ホーム】の続きです。



「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -VSサビオ。2013年10月13日①


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -VSサビオ。2013年10月13日②



 前節…。今季2度目の「解雇」の危機を「奇跡の勝利」で何とか脱出しましたが、ギリギリの戦いは今後も続いていきます。

 今節の相手は、デポルテス・サビオ。昨季までは毎シーズン「残留争い」をするだけの凡庸なチームでしたが、今季は大躍進。第11節を終えた時点で何と首位に「勝ち点3差」の「3位」に着けるなど、今季のホンジュラスリーグの「最大のサプライズ」となっている存在。第3節に「ホンジュラスで最も難しいアウェー戦」で対戦した時は、「1-2」で敗れています。正直、強いし、メチャクチャ嫌な相手…。

 対する我々は、前節のレアル・エスパーニャ戦に「奇跡の勝利」を収めたとは言え、今季はここまで「勝った後に必ず気が緩んで負ける」というジンクスが続いており、「連勝」がただの一度もない…。本当の「真価」が問われるのは、この試合。これまでの悪しきジンクスを払拭できるか…?「1部残留」と「上位プレーオフ進出」(6位まで進出できる)に前進するためにもこの試合は絶対に勝たなければなりません。



 果たして、結果は…?



※黄色がパリーヤス・オネです。






 パリーヤス・オネ、デポルテス・サビオとホームで「1-1」の引き分け…。

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -パリーヤス「1-1」サビオ



 とうとう、「最も恐れていた事態」が、現実に起こってしまいました。

 「0-0」で迎えた緊迫の後半…。相手の何でもないロングボールに飛び出した「自身が高く評価するGK」サンティ二が、まさかのファンブル…(動画「0:27」)。そのミスを、マラトン時代のアミーゴであり2009年「中国スーパーリーグ得点王」であるルイス・ラミレスに決められる…。弁解のしようがない明らかなGKのミス。試合後に監督は激怒しロッカールームで用具を蹴り飛ばし、他のコーチからはボロカスに罵倒されました。今までどんな試合の後も、コーチングスタッフがこのような言動を取る事はなかった。チームの「結束力」さえも崩壊させるほどの、正に「致命的ミス」。GKのミスはGKコーチである自分の責任…。言葉では言い表せないほどの、大きなショックを受けました。

 実はこの「致命的ミス」には伏線がありました。前節もサンティ二は「バックパスは相手が前からプレッシャーをかけてきて味方へのパスコースがなかったら、安全第一でロングボールで逃げろ」という指示を破ってミスからピンチを招きましたが、この試合でもその指示を聞かず、ゆっくりトラップして散々迷った挙句にあろう事が相手にパスをしてしまい、大きなピンチを招きました(動画「0:07」)。普通なら、前節にミスをした時点で学ばければならない。実際に前節の試合後にサンティ二にはその話もしたし、「バックパスをトラップもしくはダイレクトで素早くロングボールを蹴る」練習も行なって意識付けをしましたが、当の本人が全く反省しておらず聞く耳をもたなかったため結局は無意味と化し、この日も同じ過ちを繰り返してしまいました。…そして、結果として前半開始直後に起こったこのミスで、チームとしてもサンティ二としてもリズムを崩し、後半のあの「致命的ミス」へと繋がっていったのです…。

 さらに伏線を挙げれば、「ベストイレブン」に輝くほどの活躍をしたプラテンセ戦の後から、サンティ二は明らかに謙虚さを失って言う事を聞かなくなってしまい(それまではちゃんと聞いていた)、練習も以前は常に100%でやっていたのが80%でしかやらなくなり、そういう「負の習慣」の積み重ねがボディーブローのようにジワジワと効いていき…今回の「致命的ミス」を生み出してしまった…。

 こうなる事は「落とし穴。…」でも書いたように事前に予想はついていて、できる限りのアプローチもしてきたのですが、どうする事もできなかった…。良い方向にもっていく事ができなかった…。その事に「GKコーチ」としての自身の無力さと不甲斐なさを痛感させられました。全て、僕の責任です…。


【第12節を終えてのホンジュラスリーグ順位表】


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -ホンジュラスリーグ第12節順位表



 せっかく前節の「奇跡の勝利」で、開幕戦以降、今季の最高順位である「5位」に浮上したのに、たった1試合で「上位プレーオフ(6位まで進出)」圏外である「8位」に後退…。最下位(ホンジュラスは最下位の1チームのみ降格)との勝ち点差を広げる事もできませんでした。しかも、それを導いたのがGKの「致命的ミス」…。責任の重さに、言葉になりません…。

 次節の相手は、ホンジュラスリーグで昨季「前人未到の4連覇」を達成した、あの「最強」オリンピア…。しかも、アウェー…。我々は今季、オリンピアにホームですら勝てていません(第4節にホームで戦い「0-1」で敗れている)。

 一難去ってまた一難。このオリンピア戦でも再びGKのミスで敗れようものなら、GKコーチである僕の信頼は大きく失墜してしまう…。それだけは、どうしても避けなければならない…。



 このオリンピア戦…。僕は大きな決断を迫られる事となりました。




「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -VSサビオ。2013年10月13日③


つづく



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