踏み出した「決勝」への道。準決勝・第1戦。VSヴィクトリア。アウェー。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

踏み出した「決勝」への道。準決勝・第1戦。VSヴィクトリア。アウェー。



逆風の中で目指す「リーグ最少失点」。VSレアル・エスパーニャ。最終節の続きです。



「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -Semifinal VS Victoria en La Ceiba.2013.5.1①



 ホンジュラスリーグの「4強」が出揃い、ついに「Semifinal(セミフィナル・準決勝)」の戦いの火蓋が幕が切って落とされました。

 ここまで勝ち残ったのは、リーグ戦1位の「オリンピア」、2位の我々「レアル・ソシエダ」、プレーオフを勝ち上がった3位の「ヴィクトリア」と5位の「プラテンセ」…の4チーム


 準決勝の対戦カードは、


 「レアル・ソシエダVSヴィクトリア」


 「オリンピアVSプラテンセ」


 …となりました。



 「ホーム&アウェー」で戦う「準決勝」と「決勝」。昨年までは、2試合トータル同点の場合に勝敗を決するルールがなく、何と「クジ引き」で勝者を決めていましが(!!)、今年からはきちんと「2試合トータル同点の場合、リーグ戦の『上位チーム』の勝利とする」というルールが設けられました。

 準決勝の対戦相手ヴィクトリアは、リーグ戦で我々よりも下の順位の「3位」。よって2試合トータル同点でも我々の「決勝進出」が決まります…が、チームの誰1人として「同点で決勝進出」なんて考えていない…「2試合とも勝って決勝に進出する」という強い意気込みで臨みました。

 つまり、この日の準決勝・第1戦の「アウェー戦」も、当然、「勝ち」にいきました。


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -Semifinal VS Victoria en La Ceiba.2013.5.1②



 こうして「勝利」のみを目指して、アウェーの地「La Ceiba(ラ・セイ)」に乗り込んだレアル・ソシエダ

 ここには今季、リーグ戦で2度ほど来ていまが、普段はあまり観客が入らないラ・セイバのスタジアムも、この日ばかりは大入り…。ヴィクトリアのサポーターが我々にプレッシャーをかけてきます。メディアの数も通常のリーグ戦とは比べものにならないほど多く、これまでのリーグ戦とは全く異なる独特の雰囲気にスタジアムが包まれていました。


 「やはり、セミフィナルは違う」 


  自分たちが大きな舞台に勝ち上がってきた事を、改めて…ヒシヒシと肌で感じました。

 そんな我々に勇気を与えてくれたのが、レアル・ソシエダの「サポーター」です。前回ブログにも書いた通りトコアからラ・セイバまではで2時間と近いため、我々のサポーターが大挙して応援に訪れてくれました。上の写真2枚は、アウェーのスタジアムを埋め尽くしたレアル・ソシエダのサポーターたちです。こんなに、ありがたい事はありません。本当に嬉しかったですし、「わざわざアウェーの地まで応援に駆け付けてくれたサポーターのためにも、必ず勝利する」とチーム全員誓いました。




 そして、ついに、独特の雰囲気、緊張感の中、試合がキックオフ




 ヴィクトリアはキックオフと同時に、前線から激しくプレッシャーをかけてきました。これは、リーグ戦で対戦した時とは異なる戦い方です。「DFラインからしっかり丁寧にパスをつないで攻撃を組み立てる」レアル・ソシエダのサッカーを、遮断しようとする作戦が見て取れました。リーグ戦で我々に2戦2敗しているヴィクトリア…我々のサッカーを入念に研究し、対策を立ててきました。

 このヴィクトリアの作戦に若干、面食らったレアル・ソシエダは、準決勝の独特の雰囲気と緊張感もあいまってか、開始10分はなかなか自分たちのサッカーができません。


 その後も、不測の事態が相次ぎました。


 前半の内に、怪我で1人、選手交代。すると後半、その代わりに入った選手が、相手選手との激しい接触で負傷。怪我で交代して入った選手がさらに怪我して交代し、同じポジションで2枚も負傷で交代のカードを切らざるを得ない、正に寝耳に水」の状況となりました。

 さらに、不測の事態は続きます。後半キックオフ直後…。突然、我々のゴール裏の水を撒く機械が、レアル・ソシエダのGKサンドロ・カルカモ目がけて噴射!!大量に撒き散らされた水は、GKサンドロはもちろん、ペナルティ・エリア内を水浸しにしました。試合中にこんな事があっても良いのか!?しかも、その直後に相手選手が強烈なシュートを打ってきて、水浸しのおかげでGKサンドロはボールをキャッチできず、あわや失点…というピンチを招きます。

 その後も、信じられない出来事が起こりました。何と、執拗に我々のGKサンドロに向かって嫌がらせと妨害工作を行った「ボールボーイ」が退場処分!!僕も長い間サッカーをやってきましたが、「ボールボーイが退場」になったのは初めて見ました。

 ピッチに水を撒く機械も、ボールボーイも…使えるものは全て使って、相手は我々に勝ちにきました。「これが、セミフィナルか…」 信じられない出来事の連続に、言葉を失いました
 

 チームはこの過酷なアウェー戦を、乗り越える事ができるのか…?


 
 果たして、「結果」は…?




※「赤」がレアル・ソシエダ。「青と白」がヴィクトリアです。










 レアル・ソシエダ、壮絶なアウェーのプレッシャーを魂で乗り越え、ヴィクトリアに「3-0」で完封勝利!!



※先制点のスーパーボレーと3点目を決めた、レアル・ソシエダのエースFWロニー・マルティネス。昨年まではずっと2部リーグでプレーしていて、ただの一度も1部リーグでプレーした事のなかった25歳のFWは、今季、1部リーグにデビューするやいなや、いきなり「得点王」に輝きました。右利きですが先制点のスーパーボレーのように左足でも、ヘディングでも、どこでもゴールを奪える上に、嗅覚もあり、決定力も高い。しかも、3点目のゴールのように足速く、体も強くて、ポストプレーも上手、前線からの守備も献身的…。正に、「万能型」FW。性格も非常に謙虚で真面目で、ホンジュラス代表入りも囁かれている注目の逸材です。ホンジュラスで最も熱いFWロニー・マルティネス。今後、海外でもプレーする事になる可能性も大です。日本のサッカー関係者の皆さん、いかがですか?(ちなみにチームの1点目と2点目をアシストしたのは、「ホンジュラス歴代最高のファンタジスタ」であり、レッジーナ、フィオレンティーナ、パルマ、ジェノア、トリノなどイタリアで10年プレーしたフリオ・セサル・デ・レオンです。無名選手ばかりの「雑草軍団」の中にあって唯一のビッグネームであるデ・レオンが、大一番でさすがの活躍を見せてくれました)

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -Semifinal VS Victoria en La Ceiba.2013.5.1④



 
GKサンドロ・カルカモも信じられない出来事(水をかけられる、ボールボーイに妨害される)が続出する中で、終始、冷静かつ安定したプレーで無失点に貢献してくれました。

 チームとして「最高の準備」をして、「最高の状態」に仕上げてきたものが、最高のサポーター」の後押しもあり、
準決勝の舞台、しかもアウェーの地でも存分に発揮され、第1戦で「3-0」という「最高の結果」を出す事ができました。


 この結果を受け、メディアやサポーターの間では「第2戦は得意のホームで戦うし、レアル・ソシエダの決勝進出はほぼ決まった」と騒がれていますが、我々には浮かれた気持ちは、一切ありません。


 「『ほぼ』は、何の意味も持たない。我々はまだ、何も成し遂げてはいない。1戦1戦、大事に戦ってきたこれまで通り、ホームでの第2戦も、ただただ全力で戦う」


 この気持ちで、チームは1つになっています。



 ヴィクトリアとの準決勝・「第2戦」は、明日


 しっかり、ホームの観客の前で我々のサッカーを披露し、無失点で勝利して、「決勝進出」を決めてみせます。


 
恒例の「無失点だった時のみにGKと試合後に撮る写真」です。準決勝という舞台、しかもアウェーでこうして写真が撮れ感無量です。僕は幸せ者です。GKのポジション選手、チームに関わる全ての人たちに対する感謝の気持ちで一杯…。明日も必ず撮る!!

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -Semifinal VS Victoria en La Ceiba.2013.5.1③



連絡先メールアドレス【 cafehondurasyoji@hotmail.co.jp 】