「99.99%」…「関東2部リーグ昇格決定戦」 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

「99.99%」…「関東2部リーグ昇格決定戦」


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→?」 -先制点VS国学院大学(昇格決定戦)


 「勝った方が関東2部リーグ昇格」

 「昇格決定戦」まで勝ち上がってきたのは、我らが立正大学と国学院大学。同じ東都リーグで何度となく凌ぎを削ってきたライバル同士。立正大にとって「4年ぶり」となる関東2部復帰を目指して…。今年最大の大一番がついに幕を開けました!!

 立ち上がり10分…。

 いきなり立正大が先制点を奪います!!勝利に向けて最高のスタートを切りました!!

 実は今年はここまで国学院大と公式戦で3度、対戦してますが、その内の2試合もこの日同様、立正大が開始早々に先制点を奪っている。内1試合はそのまま「1-0」で逃げ切って立正大が優勝 、もう1試合は終了間際に同点に追い付かれ「1-1」の引き分け …。

 果たしてこの試合はどうなるのか…?

 ここ数試合は重圧からか全く自分達のサッカーができず苦しい戦いが続いていましたが、この日は「最高」とも言うべき素晴らしい内容で、国学院大に猛攻を仕掛けます!!

 立ち上がりの動きが硬かった時間帯に何度かピンチを招いた以外は、ほとんど国学院大にチャンスを与えません。逆に我々は数え切れないほどの決定機を作り出します!!

 しかし、その全てを立正大はことごとく外してしまう…。

 「1-0」とリードしてから、チャンスはたくさん作るのに追加点を奪えない…。実はこれも、ここ数試合の立正大に見られた悪しき傾向。最近の5試合で勝った4試合は全て「1-0」。追加点が奪えず、結果、試合終盤に相手の猛攻を食らいどうにか守備陣の奮闘で逃げ切る展開が定番となっていました。つまり自ら、試合を難しいものにしていた…。

 この日も同様の苦しい展開が続いていきます。


 終盤、国学院大は長身DFを前線に上げ、パワープレー攻撃に転じてきました。それまで、国学院大の攻撃をほぼ完璧に抑えていた立正大ですが、相手の最後の捨て身の猛攻に、苦しめられる事となります…。


 それでも何とか「定番」通り、立正大1点リードのまま、ついに後半45分が終了!!残るは「ロスタイム1分のみ」というところまできました。この「1分」を凌ぎ切れれば「昇格」です…。

 ところが、ここで相手にCKのチャンスを与えてしまいます。国学院大はロスタイムの得点を最も得意としており、実際、終了間際の奇跡的な同点・逆転劇を何度となく連発してこの日の「昇格決定戦」まで勝ち上がってきました。前述したように立正大も秋季リーグ戦で国学院大に「残り2分」というところで同点ゴールを決められ、引き分けに持ち込まれる苦い経験をしている…。同じ轍は2度と踏んではならない。しかもこの状況…。このCKを守り切れば「昇格」が決まる…。今年の立正大にとって、最も重要な場面がやってきました。


 そして…。













「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→?」 -失点VS国学院大学(昇格決定戦)



 まさか…。まさかの同点ゴールを喫する…。狂喜乱舞する国学院大。呆然自失の立正大。CKが蹴られた時にはすでにロスタイムも残り「30秒」を経過していました。信じられない…。正に「悪夢」です。そうとしか言いようがありません…。

 この「悪夢の失点」の直後に試合終了。本来ならすでに「昇格」が決定し、あり得ないはずだった「延長戦」が始まりました。もちろんショックです。しかし、ここまできたらやるしかないので全員が気持ちを切り換えて延長戦に臨みました。それに失点以外はほとんどの時間帯で立正大が主導権を握っていた事実も我々を前向きにさせました。やってるサッカーの内容自体は良い。これを続けていけば必ず勝てる…。

 しかし、延長戦でも「同様の問題」が立正大を悩ませる事となります。「決定力不足」。再三に渡って決定的なチャンスを作りますが、中途半端なクロスやシュートに終始し、どうしても、ゴールを奪えない…。今日の立正大は「自滅」という言葉が正に相応しい…。いくらでも勝負を決めるチャンスはありながらそれをモノにできず、ついに「昇格」の行方は「PK戦」に委ねられる事となりました。

 そして、この「PK戦」でも「決定力不足」が出てしまいます。立正大GKがスーパーセーブで相手のキックを1本止めるも、それを上回る2本のシュートを枠外に外し、ついに敗北…。


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→?」 -敗北VS国学院大学(昇格決定戦)


 言葉にならない。とにかく目の前で起こってる出来事が信じられない。号泣する選手達…。そして4年生…。彼らを「笑顔」で終わらせてあげたかった のに…。結果はその逆…「悪夢の結末」となってしまいました…。「99.99%」手中に収めていた「関東2部リーグ昇格」を、「残り30秒」で手放してしまった…。これまで、どれだけの思いで苦しい試合を乗り越え、ここまで辿り着いた事か…。あまりのショックにただただ号泣する選手達に、コーチとしてかける的確な言葉が見つかりませんでした…。


 「悲劇」が起こってしまったのは偶然ではなく、我々に足りないモノが確実にそこにあるからだというのは、紛れもない事実。その「足りないモノ」は何なのか…?選手のみならず、我々スタッフ一同がもう一度、真剣に考え、取り組んでいかないと何度でも同じ「悲劇」を繰り返す事になります。

 足りなかった「0.01%」を追い求めて…。

 今年、7年ぶりに母校に帰還し、GKコーチを務めてきましたが、あともう少しチームを良い方向に導けなかった事には、大いに責任を感じています。とにかく昇格させてやりたかった。4年生を「笑顔」で送り出してやりたかった…。「無念」。その言葉しかありません。

 唯一の救いは立正大のGKがリーグ戦と関東大会で共に、全チーム中「最小失点」を達成した事。「2冠」です。リーグ戦は「9試合8失点」(1試合平均0.88失点)「無失点3試合」、関東大会は「昇格決定戦」も含め「4試合2失点」(1試合平均0.5失点)「無失点2試合」、合計「13試合10失点」(1試合平均0.76失点)「無失点5試合」という、素晴らしい成績を残しました。もちろんこれは、DF陣などと全員で協力して成し遂げた結果ですが、FWが良いアシストのおかげでゴールできても全て自身の得点になるように、GKも失点の少なさが評価にもっと反映されても良いと思います。でないとGKというポジションは報われないし、可哀想です。とにかく本当に良くやってくれました!!彼らの活躍に心から感謝したいと思います。


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→?」 -時田PKセーブVS拓殖大


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→?」 -PK戦勝利VS拓殖大

 
※向かって左から、柳(佐野日大高出身)、川北(浦和学院高出身)、時田(三菱養和ユース出身)、岡部(川崎フロンターレユース出身)、細川(八千代高出身)、小松(習志野高出身)、黒澤(川越南高出身)。才能溢れるGK達です!!(一番左の帽子をかぶってるのは自分)

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→?」 -立正大GK陣!2009年11月

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→?」 -立正大GK陣!2009年11月。2

 
 最後に。ここまで立正大学体育会サッカー部 を応援して下さいまして誠にありがとうございました。今年最大の目標である「関東2部リーグ昇格」を、こんな形で達成できずに、非常に申し訳ない気持ちで一杯です。来年以降、自身がどういう人生を歩んでいくかは現時点では分かりませんが、今年もまだ「新人戦」が残っていますので、12月から開幕するこの大会で優勝できるよう精一杯、取り組んでいきます。これからも熱きご声援よろしくお願いします!本当にありがとうございました!!


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