こちらも先月鑑賞した作品です。
若松孝二監督の『11、25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』を観てきました。
ストーリーは以下のとおりです。
「仮面の告白」「金閣寺」「憂国」など、次々に話題作を発表し、人気絶頂にあった文豪・三島由紀夫。
時は学生運動全盛期。三島は文筆業の傍ら、
民族派の若者たちを組織化し、有事の際には自衛隊と共に決起すべく訓練に励む。
しかし、警察権力の前に、自衛隊は出動の機会すら得られない状況が続き、
苛立ちを募らせれる三島と楯の会の若き隊員たち。そして、ついに、決断の時が訪れる・・・。
(『11、25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』 フライヤーより)
感想ですが、
史実として三島事件の詳細を知らなかったので、僕自身は楽しめました。
主演の井浦新さんと三島由紀夫の外見的イメージが違いすぎるので、そこは微妙でしたが・・・(笑)
(でも井浦新さんの演技は素晴らしかったと思います)
学生たちの純真無垢な思いがストレートに伝わってくる作品で、
60~70年代の学生運動の熱気がヒシヒシと伝わってきました。
特に森田必勝を演じた満島真之介さんの白熱した演技が良かったです。
(女優の満島ひかりさんの弟さんです)
昨年観た左翼側の学生運動を描いた『マイ・バック・ページ』とは
対照的な学生たちの姿が興味深かったです。
(『マイ・バック・ページ』を観てなかったら、もう少し今作の評価が低かったかもしれません)
あれだけの学生から慕われる三島由紀夫という人物は、
人を惹きつける魅力にものすごく溢れた人だったのかなあと思いました。
ただ、現代に生きる僕自身が感じるのは『革命』や『クーデター』という言葉が
一人歩きしてしまっているような活動だなあと感じてしまいます。
三島由紀夫という人物がなぜ右翼的思想に傾倒するようになったのかという理由が大して描かれていないこともあり、
ストーリー上唐突さが否めないというか、狂気の沙汰のように映ってしまうのも要因の一つかなあと思います。
あとはストーリー上さらっと流されてしまったのですが、
楯の会の組織としての結束のもろさ(仲間の裏切りetc.)をもう少し詳細に描いたほうが
ストーリーに深みが出てきたのかなあと個人的には思います。
60年代の学生運動の様子を全く知らない人が史実を知る意味では良い作品だと思います。
左翼側を描いた『マイ・バック・ページ』と両方観たほうがいいかなあと感じます。
★・・・3.0/5.0