パグ好きの方はご存知だと思うが、あのマズルの短い顔に反して、パグは相当長い舌を持っている。
わが家のきなこは十四才の老パグで、若い頃はそうではなかったのだが、壮齢になるに連れ、舌がいつも口からはみ出しておる。
そして身体全体の動きはのろいが、舌だけは常に素早くペロペロ動かしている。

今夜もいつも通り、妻がきなこを膝の上に乗せてタブレットを操作していたのだが、不意に妻が驚きの声を上げた。
どうやらきなこがペロペロの顔をTBに近づけたかと思ったら、ベロで画面をスクロールさせたらしい。

このヒュンヒュンしたムチのような舌!
よもや意図した行動ではなかったであろうが、この行為に大笑い。
拙者が大ファンの楳図かずお作品『猫目小僧』の妖怪肉玉編(1968年)で登場する、手足がない妖怪「ないない」を思い出した。
「ないない」もベロを駆使して妖怪肉玉と戦っていた。
(「ないない」は妖怪肉玉=ガンの元)を退治する「益妖怪」だ)。

「ないない」の正体はガンに効果がある何かの樹で、猫目小僧がどこかで折った枝に風呂敷包を下げて旅をしているうち妖怪に変化したものらしい。
「ないない」ときなこは外見上似ていないが、おっとりとした感じとながい舌を駆使するところが共通しているのである。