優れた経済人として明治初期に活躍した、薩摩の五代友厚を描いている。

三浦春馬の遺作となった作品で、本人の死とコロナ禍の影響で上映が相当延びた。そういった事情もあり、大ヒット作となったようだが、拙者にはかなり物足りなかった。

まず、風采からしてもだが五代友厚がカッコよすぎる。剣と格闘術のかなりの使い手として描かれているが、実際の五代がそれほどまでに強かったという武勇伝を聞いたことがない。

次に、ストーリーが時々ワープする。
薩英戦争でイギリス艦に拉致された後、どうやって脱出できたかということが具体的に描かれていないし(遊女はるのイギリス人・夫への命乞いシーンの後、いきなり普通に街を歩いている)、あれほど心を奪われていたはるが亡くなった後、町で出逢った武家娘とよ子に「あの…」と呼び止められた次の瞬間に、はもう夫婦となって子どもまでいる。
こうなると架空人物のはるを何故登場させたのかもわからない。前半から後半に差し掛かるまで熱愛が続くのだが、途中病で亡くなって友厚は悲嘆に暮れる。しかしそんなことがなかったの如く、上記のようにとよ子とあっさり結婚してしまうのである。前半にロマンスの要素を添えるために生み出されたとしか思えない、実に可哀想な存在なのだ。

他にも坂本龍馬・岩崎弥太郎・伊藤博文などと鍋をつつき合うほどの仲間になっているが、完全なフィクションである(幕末ものは必ず坂本龍馬を主人公の友人にする)。が、このぐらいはまあ許そう。

しかし、三浦春馬の命を燃やし尽くすかのような熱演は心に残った。
どうして自死などしてしまったのか…。