1972年8月実際に起こった事件を元にした作品。閉店目前の銀行の前で、神経質そうに不穏な動きをしている3人の男の登場から始まる。
そして男たちは何食わぬ顔で次々に入店すると、案の定やにわに銃を取り出し大声で威嚇し強盗を開始する(犯人の一人は日和って何もしないうちから逃走する)。

大金庫を解錠させ、現金を取り出そうとするまではよかったが、金庫には僅か1000ドルほどしかなく、しかもなぜかすでに警察が十重二十重に周囲を取り囲んでいた。行き場を完全に断たれた犯人たちは、籠城戦を展開せざるを得なくなり、警察・FBIとのジリジリした対峙が開始される。

その後、警察との交渉を繰り返すが、奥に監視(相棒のサルバトール)付きの人質がいるので、警察は手出しができない。時折主犯格のソニー(アル・パチーノ)がイラつき、喊声を上げる度に、巡査部長が必死に宥めようとする。取り囲んだ警官たちの更に外側には多数の野次馬がおり、ソニーにまるで反逆のヒーローの如く声援を送る。
このあたりの臨場感はものすごくリアリティがある。

また人質たちも膠着状態の続く中で段々気が緩んできて、ソニーと軍礼の捧げ筒の練習をしたり、サルと会話を楽しんだりする。これはいわゆるストックホルム現象を劇中で描いた嚆矢となるのではないか。

警察からFBIに指揮が変わった後、兎にも角にもソニーたちは用意されたバスで、高飛び用の飛行機が用意されているケネディ空港へ向かうことになる。
だがこれで逃亡がまんまと成功すれば、それまでの展開が全て冗漫となる作品になってしまう。最後に「悲劇」が予測される雰囲気が一貫して醸し出され、そしてそうなるのだから、アメリカン・シネマの名作として今も残るのだ。