

1980年。退役軍人クラブのメンバー、エリック・ローマクスは、鉄道旅での途中、たまたま同席したパトリシアと通過する土地にまつわる話題で意気投合し、やがて結婚する。
幸せな結婚生活が始まったが、しばらくしてパトリシアは、何かに脅えるようなエリックの不審な行動に驚く。
心配し理由を聞く妻に、決して胸の内を明かそうとしないエリック。
愛する夫を何とか救いたいパトリシアは、戦友だったフィンレイに、過去に何が起こったのかを聞きに行く。
戦場を体験した者にしか気持ちはわからないと、話を拒否するフィンレイだったが、パトリシアの必死の説得に重い口を開き始める。
そこで語られたのは、日本軍の捕虜となったエリックの、あまりにも壮絶で悲惨な体験だった……。
タイとビルマの間を走る泰緬鉄道の敷設に従事させられた、イギリス人捕虜の体験記が原作で、映画のタイトルには実際に起こった話であることが添えられている。
冒頭から抑制の効いた静かなトーンでストーリーは進行する。
だが回想シーンで、捕虜の仲間と手作りのラジオで戦況を知ろうとしたことが、中国と連絡を取り合っていたという嫌疑をかけられることになり、首謀者とされたエリックは激しい拷問にかけられる。
この拷問のシーンを見ているのが辛かった。
拷問に荷担した憲兵の永瀬が、戦後もまだ生存していたことを知ったエリックは彼に会いに行き、過去との対峙を行う。
永瀬もまた、軍部の虚偽の情報に振り回されていたことで、悔恨の念に苦しんでいた。
エリックは永瀬を赦し、和解を果たした二人は終生友人となったという感動的なエピソードで物語は終わる。
強制連行や慰安婦問題で中韓と悶着が絶えないが、アジア諸国だけでなく、英米などヨーロッパ諸国の捕虜に対しても、日本軍が残虐行為を行ったのは紛れもない事実である。
特にこの泰緬鉄道敷設と、バターン死の行進によって、未だにオランダ人は日本に悪感情を持っているといわれている。
日露戦争の時までは、敵国の捕虜に対して紳士的な扱いをしていたのに、太平洋戦争の時の日本軍の変わりようはひどい。
(これはシベリア抑留を行ったソ連=ロシアも同様である)
今、日本は東京オリンピックを控え、また観光国として外貨を稼ぐために、おもてなしの心を持つ親切な国であることをアピールしているが、かつて自分の国が他国に対して行ったことを知っておく必要があるはずだ。
そうでなければ、日本から受けた行為を忘れない国々から、そのおめでたさを呆れられるだけになるだろう。
地味で決して楽しくなる映画ではないが、そういう意味で、戦争を知らない世代の人に観てほしい作品である。
評価4。