
四条烏丸にある京都シネマで高橋知明監督、毎熊克哉主演『桐島です』を鑑賞した。
今から半世紀ほど前に起こった『東アジア反日武装戦線』による連続企業爆破事件の犯人の一人、桐島聡逃亡の物語である。
桐島は2024年1月、末期の胃がんで病院に搬送され、4日後死に至る直前に偽名の内田ではなく「自分は桐島聡です」と“正体”を明かした。
50年という長い間、全国の派出所をはじめ街角や銭湯に貼られた指名手配犯の、眼鏡をかけてほほ笑んでいる人の良さそうな青年の成れの果てが彼である。
映画館の観客は全員で30名足らず、しかも中高年ばかりである。そもそもあの時代の連続企業爆破事件や、なぜあのような事件が起こったのかを知らなければ、この映画を見に来ようという人はいないだろう。特に若い人は。
桐島の逃亡生活は、彼が勤務していた工務店の人々が断片的に知っているだけなので、この映画の殆どがフィクションというか、脚本家の想像である。それでも、桐島という本来は優しく生真面目、社会問題に義憤を感じて行動した男の、過ちと煩悶がよく描かれた青春映画の佳作だと思う。決して政治的・反社会的メッセージのこもった作品ではない。
桐島を演じた毎熊の抑制の効いた演技力、桐島と仄かな恋仲となる北香那のチャーミングさも秀逸だった。