
ロバート・レッドフォード監督・主演の社会派サスペンスドラマ。
ベトナム反戦運動が全米に広がった1960年代後半~1970年代初頭。スチューデント・パワーを恐れた政府は、反対運動に立った若者たちに激しい弾圧を加えた。
それに対抗すべく学生運動は尖鋭化し、過激派組織ウェザーマンは爆弾テロ・銀行襲撃を行った。
それから30年間、実行犯たちは社会に潜伏していたが、メンバーの一人だった女性シャロンが自首直前、盗聴によってFBIによって逮捕される。
弁護士ジム・グラントは彼女の弁護を依頼されるが、頑なに拒否。やがて一人娘を連れていずこかへ姿を消す。
彼もまた過去ウェザーマンの一員であり、新聞記者ベンの取材がもとで、実行犯の一人としてFBIから目をつけられたのだ。
娘を学者の弟のもとに預け、娘の寝顔に再会を誓って姿を消すジム。だが彼はただ逃亡しているのではなく、真実を明かすために元メンバーで恋人だったミミを探す目的があった…。
純粋な若者の正義感から生まれた行動が、権力の弾圧によって、人々から支持されない反社会的活動へと変質しまうことは、日本の現代史でも起こったことだ。
ひとつの必然ではあるが、大きな悲劇でもある。
ロバート・レッドフォードの実年齢は、当時運動をになった学生よりも一回り上だから、ちょっと設定に無理がある。
(この映画の製作時は70歳代後半だから、相当若く見えるのではあるが…)
70年ごろと言えば、彼がニューシネマの「明日に向かって撃て!」に出演していた時代だ。
当時の社会状況に対し、当時言い残したことを、この映画に込めたかったのかもしれない。
それは、主人公の台詞の中よりも、冒頭で逮捕された元メンバーのシャロンが、記者ベンに獄中で語る言葉の中に含まれているように思う。
…テロは民衆から支持されない。
→暴力はよくないというのは一般論。あの頃は政府が大勢の人を殺していた。それを阻止できるのは当時あの方法しかなかった。
…また同じことをする?
→ええ、きっとやるわ。
毛沢東の「造反有理」という言葉を思い出した。
サスペンスものだが、カーチェイスや銃撃戦、格闘シーンなどはまったくでてこない。これも物足りないといえばそうだが、
娯楽ものにきっとしたくなかったのだろう。
ただ、ラストシーンがレッドフォード親子の再会のみにフォーカスされたので、ずっとこの顛末を追っていた、キーマンの一人である新聞記者ベンが、最後にいつのまにかフェードアウトしてしまう感じだ。
また彼のキュートなFBIのガールフレンドも絶交を宣言したまま。
頑なに証言を拒否していたミミも、なぜ急に態度を翻したのやら。
色々考えさせられた作品だけに、ちょっと最後が予定調和的に映ってしまったのが残念。
評価3.5。