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ポスターはカラーだが白黒映画である。しかしこの二人の共演となると却って渋さが出ていい。
刑務所を出所したばかりの男シャルル(ジャン・ギャバン)が、フランシス(アラン・ドロン)と組んで、カジノの売上金を強奪しようとするクライム・サスペンスである。
それぞれ富豪に扮し二つの豪華ホテルに潜伏、金に糸目をつけず従業員などと信頼関係を築いて、地下室への侵入をしやすくしていく。
カジノのオーナーが毎週定期的に金庫へ売上金を運んでおり、そのタイミングを狙って襲撃するのだ。
いくつかの障害があったものの計画通り進み、屋上の通気ダクトから地下室に辿り着いたフランシスは、マシンガンでオーナー達を脅し、まんまと大金を強奪することができ、そして翌朝を迎える。
手がかりを求めて右往左往する大勢の警察官。犯行時は覆面をしていたので、顔は知られていない。この囲みから逃れることができれば目的達成なのだが…。
シャルルがなぜホテルの図面を所持していたり、オーナーがいつ金庫に向かうかということを知っているのかの描写はない。しかし計画が成就するかどうかのハラハラ感はたまらない。
かまやつひろしの『ゴロワーズを知っているかい』という洒落た曲の歌詞に“ほらジャン・ギャバンがキネマの中で吸っているタバコさ よれよれのレインコートの襟を立てて短くなるまで奴は吸うのさ”というフレーズがある。タバコはよく吸っているシーンはあったが、この映画ではないらしい。
アラン・ドロンの映画をそれほどたくさん観た訳ではないが、『太陽がいっぱい』
や本作を含め、そのどれもで彼は犯罪者役ばかり演じていることに気づいた。
雰囲気は全然違うが、さしずめフランスの高倉健といったところか。