
自動車の運転が覚束なくなってきた母親デイジーを心配した息子が、運転手として雇ったのがホークだった。
偏屈でプライドの高いユダヤ系移民のデイジーと、無学だが万事気のつく黒人ホーク。
最初はホークを拒否していたデイジーだったが、次第に心を開いていく。
そんな二人の25年にわたる心の交流が描かれている。
アメリカで大ヒットし、アカデミー賞の何部門かに輝いた作品で、かなり期待して観た。
これといった盛り上がりもなく、穏やかにストーリが進行していくが、二人の付かず離れずの関係を表すエピソード的な場面と、美しい庭園の光景で何となく心が癒される。
なぜ現代ではなく、1950年頃から描かれるのかと思ったが、南部が舞台ということもあり、ユダヤ系民族と黒人への偏見が強かった時代背景が必要だったのだろう。
叔父の誕生祝いで、アラバマ州モービルへ向かう途中、警官に職務質問を受けたとき、警官が「ユダヤ人の婆さんと黒人の爺さんの二人か、お似合いだな」と呟く。
またデイジーのユダヤ教寺院が爆破されたり、キング牧師の演説シーン(声だけだが…)が出てくる。
このあたり、人種差別への静かな批判の意を含んでいるとも受け取れるが、明確な主張は感じられない。
もっとも、そっちの色彩を強めてしまうと、まったく別の作品になってしまうのだが。
1948年から1973年までの長い物語であるが、時代の移り変わりがやや判りづらく、あれ、いつの間に時代が進んだの?という感じ。
映画の評価としては、好きな類いのものではあるが、これで終わりなのか?というラストでもあり、なぜそんなに大ヒットしたのか、今一つピンと来なかった。
評価3。