4000人の乗客を乗せたポセイドン号は、突然の大津波に襲われ転覆し、一瞬にしてほとんどの乗客は命を失った。残る400人の乗客は船長の指示によりパーティールームにとどまるが、ギャンブラーのディラン、元消防士で前市長のラムジー、彼の娘とフィアンセ、など9人がエンジンプロペラのある船尾(さかさまになっているので、船の最上部)から脱出することをめざして、移動を開始する。
しかし、爆発や火災、浸水などにより容易に前進することはできない。予想のできない災難が次々に起こり、一人、また一人と命を落としていく…。

1972年の「ポセイドン・アドベンチャー」のリメイク。リメイクは前作を絶対に超えることはできないというのがセオリーだが、この映画もやはり…。

「ポセイドン・アドベンチャー」は当時、乗り物のパニック映画という新たなジャンルを打ち立てた名作。単に脱出行だけでなく、ジーン・ハックマン演じる牧師を中心とした極限状態の中での人間ドラマがあり、何度見ても感動したものだ。あの映画は拙者の評価では5である。

しかし、この映画は人間ドラマの部分が薄く、脱出のシーンのみにスポットが当たっている。そして
自分が助かるために初老の男がボーイを蹴落とすシーンがあり、ここが非常に胸が悪くなるところだ。しかも、この蹴落とした男はそもそも失恋(!)のために沈没直前、海に身を投げようとしていたのである。この「蜘蛛の糸」状態のシーンは、「ポセイドン・アドベンチャー」で助かりたいためにクリスマスツリーに乗客が群がり、その重みでツリーが倒れてみんな死んでしまった…という自業自得のシーンを参考にしていると思われるが、なんとこの初老の男は最後まで生き残るのである。

ほかにおかしいと感じたところもある。ラムジーは確かに元消防士ではあるが、ディランも含めて船員の経験者がないのに、簡単な船内図を見ながら実に正確に目的地にたどり着くのである。
「ポセイドン・アドベンチャー」では描けなかったリアルな描写を、CG技術で補っているところが唯一優っている点かも知れないが、すでにこういったリアルな船内避難の様子は、「タイタニック」で見てしまっている。第一「ポセイドン・アドベンチャー」はそんな描写がなくても十分なのである。

…と「ポセイドン・アドベンチャー」と比べて酷評する結果となったが、途中で見飽きるというほどでもない。前作と比べずに評価は3とする。