ロバート・デ・ニーロ、ジョン・トラボルタ共演。ボスニア紛争で相対した二人の元兵士が、紛争から18年後のアパラチア山脈を舞台に、一騎討ちを繰り広げる。

デ・ニーロが捕虜収容所を解放したアメリカ軍大佐、トラボルタが家族や仲間を無惨に殺されたセルビア兵で、どちらも戦争による惨状を経験し、心に深い傷を持っている。過去を清算するために戦いを仕掛けたのはコヴァチ(トラボルタ)だが、ベンジャミン(デ・ニーロ)も逆襲、凄惨な決闘が繰り返される。

最初は弓矢による応酬、ベンジャミンが足に矢を受け、傷口に紐を通し逆さ吊りにされる。これでまずぞっとするが、次にコヴァチが頬に矢を貫通され、たっぷり塩を入れたレモン汁を傷にかけられる。
殴り合い、銃による戦いなど、けっこう陰惨なシーンが多い。

ボスニア紛争では約20万人が死に、その殆どが一般人だったというから、その悲惨性がこの陰惨な個人の戦いに象徴されているのだろう。改めてあの紛争の悲劇、無意味さが思い出された。

当時、日本はバブル期が終焉し、阪神大震災やオウム事件などがあり社会全体が沈鬱な雰囲気だった。しかしそれでも、(被害者には申し訳ないが)国家同士の戦争状態の悲劇とは比較にならないし、自分も当時平穏で幸福な日々を送っていた。

戦争は当事者の間で、どちらかの一方的に非がありどちらかに正義があるものではない。
それは今のイスラム国と中東・ヨーロッパ各国においても同じである。この両者において、「話し合い」という手段が存在すると考えられないほど悪化してしまっているのであるが、拠点空爆のために市民が巻き添えを喰らっているのも事実である。

おっと、映画から話がそれたが、そういったことを考えさせてくれた意味で、単なるアクション映画としてより、少し高く評価したい。
評価4。