午前十時の映画祭「シャイン」 | champagne-bar-tritonのブログ 映画と観劇と浜田省吾

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「午前十時の映画祭」、「きっと、みんなに明日がある」と題した2作品。
天才ピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットの波乱に満ちた半生を描く。


公開2週目は、上映前後に映画評論家・町山智浩氏の解説付き。
せっかくなので、その期間に合わせて初鑑賞した。1996年の作品。

 

映画にまつわるエピソードなど、色々聞けて興味深く面白かった。

水が意味する演出について解説するなど、なるほど、と思った。


映画「シャイン」

 


冒頭、雨の中ずぶ濡れの男がピアノがあるレストランに辿り着く。
彼がこれまでに至るに何があったのか、幼少期から遡って展開。


幼い頃から、父親から厳しいピアノ指導を受けてきたデヴィッド。
やがて才能を開花し、天才少年、神童と呼ばれるまでに上達する。


ある指導者から、デヴィッドはアメリカ留学を勧められるのだが。
頑固で支配的な父親が家を出ることを許さず、話は流れてしまう。


自身の辛い過去の経験から、神を信じず他人も信じない父親。
自分の価値観を押し付け、子供の自由と未来を奪い束縛する。


本来、子供の夢と可能性を伸ばそうとするのが正しい親の在り方。
この父親の呪縛から逃れられないのが、まず悲劇だと思った。

 


成長したデヴィッドに、イギリス音楽院に留学する話が舞い込む。
またも父親は反対し、暴力を加え精神的にも追い込む酷い仕打ち。


だが今度は反対を押し切り、勘当されてまでロンドンに渡る。
ようやく父親のもとを去ることが出来、切ないがホッと安堵した。


優秀な教師や環境に恵まれ、コンクールで難関な曲に挑戦し成功。
音楽映画の側面もあり、本格的で見事な演奏の数々を楽しめる。


だが直後に倒れ、彼は精神を病んで病院に収容されてしまう。
栄光を掴んだかに思えた瞬間、崩壊した姿が悲しく切なかった。


大人のデヴィッドを演じた、ジェフリー・ラッシュが素晴らしい。
闇を抱えながらも、音楽を愛する一途さと無邪気さを感じさせる。

初主演だったことに驚くが、主演男優賞受賞も納得の演技だった。

 


その後デヴィッドは、名声を知る老婦人の援助を得て退院する。
そして冒頭に繋がり、偶然迷い込んだレストランで演奏を始める。


これまでと違い、解き放たれたように楽しくピアノを弾いている。
純粋に音楽を楽しむ喜びを得て、自身も救われていくようだった。


さらに、占星術師のギリアンと出会い、結婚するのが奇跡的。
良き理解者である彼女のサポートもあり、再び演奏家として活動。


見事に復活を遂げたコンサートで、喝采を浴びる姿は感動的。
崩壊からの再生物語でもあり、皆の輝く笑顔にもらい泣きした。


父親との魂の決別に、人生を取り戻したと分かり心が温まる。
実在の人物の伝記モノの音楽映画であり、復活と再生の物語。
音楽への情熱と、彼を支えた愛と絆の物語でもあり感動した。