映画「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」 | champagne-bar-tritonのブログ 映画と観劇と浜田省吾

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ナチスからチェコの子供たちを救った、ニコラス・ウィントン。
彼の活動と50年後の真実、愛と苦悩を描いた感動の実話。


映画「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」

 


1938年、ロンドンに住むユダヤ人の活動家ニコラス・ウィントン。
ナチスから逃れてきた大勢のユダヤ難民が、プラハにいると知る。


現地に向かったニコラスは、彼らの過酷な状況を目の当たりに。
住居も充分な食料もなく不衛生な中で、悲惨な生活を送っていた。


物語は、第二次世界大戦直前の過去と50年後が交錯しながら展開。
ニコラスを演じる役者が違うので、分かりやすく混乱しない演出。


難民の子供の中には、すでに親を失っている子供もいると分かる。
国や人種を越え、ナチスの迫害から命を守りたい一心で突き進む。


ナチスの侵攻が迫る中、彼は子供たちだけでも救おうと決意する。
何かをせずにはいられない、勇気と正義感が強く行動力がある男。


そこで同志たちと、子供たちをイギリスに避難させようと奮闘。
組織を立ち上げ、イギリスでの里親探しと資金集めに奔走する。


ビザを発給する過程など、下準備の苦労が丁寧に描かれていく。
ニコラスの母も立ち上がり、様々な人物に掛け合い活動を続ける。


こうして少しずつだが着実に子供たちを列車に乗せ、脱出させる。
戦況が激しくなる中で、引き裂かれる親子の運命は切なく辛い。


僅かな希望を子供に託し、せめて子供だけでもと願う親の崇高な愛。
戦争の悲劇とナチスの罪深さを描いた、伝記モノであり反戦映画。


やがてナチスのポーランド侵攻により、第二次世界大戦が勃発。
緊迫感が漲りハラハラドキドキ、押し寄せる危機に恐怖を覚えた。

ついにナチスの手が迫り、全員を救出することは出来なかった。


669人を救い出したものの、救えなかった子供たちを忘れられない。
50年が経過した80年代でも、ニコラスは自分を責め続けていた。


名優アンソニー・ホプキンスの演技が素晴らしく、心を打たれる。
貫禄と存在感があり、優しさと慈悲深さを醸し出し温かさに泣ける。


過去の活動資料を整理しようとするニコラスに、あるオファーが。
あるテレビ番組の収録に参加して欲しいと頼まれ、出演することに。


そこで待っていたのは、かつて彼が救った子供たちとの奇跡の再会。
そして、彼らが繋いだ多くの命による、輝かしい未来の姿だった。


ようやく報われて涙するニコラスの愛と苦悩に、涙が止まらない。
実話らしく、その後のエピソードも興味深く感動的で心が温まる。


長生きしたニコラスとの交流など、全てが奇跡的で素晴らしかった。
戦時下の極限状態でも互いを思いやる、人々の美しい善意に感動した。