人生行き詰まりな女性たちの、アメリカ縦断ドライブが始まる。
破天荒ガールズの、予測不能なノンストップ・ロードムービー。
「コーエン兄弟」の弟、イーサン・コーエン初の単独監督作。
映画「ドライブアウェイ・ドールズ」
ガールフレンドと破局したことを嘆く、自由奔放なジェイミー。
その友人で、堅物で自分の殻を破れずにいる真面目なマリアン。
共にレズビアンという共通点はあるが、タイプは真反対の二人。
対照的であるほど、奇妙なデコボココンビとなり愉快で面白い。
時は1999年、日々の生活に行き詰まりを感じている二人は。
気分転換に車の配送をしながら、ドライブ旅行に出かけることに。
手配した車に乗り込み、フロリダ州タラハシーに向かうが。
寄り道をしながら、ジェイミーはレズビアンバーで弾けまくる。
ゲイバーがあるからレズバーもあるだろうが、人数の多さに驚く。
性の多様性もここまで進んでいれば、マイノリティも困らない。
自由恋愛主義で積極的なジェイミーは、一夜の相手を物色する。
かたやマリアンは、おとなしくホテルの部屋で読書にふける。
ジェイミーがキュートでかっこよく、クールで魅力的だった。
エロも濃厚に描かれ、生々しいレズのベッドシーンも盛り込まれる。
さらに途中で、全員レズという奇跡的なサッカーチームに出会う。
仲間を引き寄せるのか、レズばかりが集まるのが可笑しかった。
戸惑うマリアンだが、ジェイミーの誘いに次第に変化が見える。
自分に素直になり、少しずつ成長するマリアンが可愛らしい。
そんな二人を必死で追って来る、謎の間抜けなギャングたち。
二人は車のトランクに隠された、謎のスーツケースを発見する。
危険が迫る状況にも関わらず、ドライブ旅行を楽しもうとするが。
ジェイミーの元カノも追って来る中、ギャングに捕らわれてしまう。
スーツケースの中身を巡りカオスに突入、事態はおかしな方向へ。
ダークで低俗なエロネタの連続で、笑うしかないおバカさ。
まさかの中身の意外性は、遊び心というかおふざけ満載だった。
ギャングは勝手に自滅するし、大物政治家まで絡んでくる。
特別出演のマット・デイモンの登場に驚き、衝撃が待っていた。
危機を乗り越え、ますます愛と絆を強くする二人が素敵だった。
身近にレズがいるのだから、友情が愛情に変わってもおかしくない。
気付かないだけで、意外と幸せは近くにあるのかも、と思った。
性の歓びに目覚め、大胆かつ美しくなっていき輝くマリアン。
退屈な日常から脱却し、明るい未来へ突き進む爽快なラスト。
人生再生の逆転劇であり、愛と成長のスリリングなロードムービー。
お下劣さを笑い飛ばせれば、短い尺でテンポよく楽しめる娯楽作。
終始レズビアン万歳!の、女性賛歌であり応援の物語でもある。
女性たちのしたたかさと、たくましさが頼もしい作品だった。