実話を基に暴かれる、警察と検察の闇を描く。
ソル・ギョング主演の、衝撃の韓国社会派サスペンス。
映画「罪深き少年たち」
1999年、全羅北道参礼のスーパーマーケットで強盗殺人事件発生。
じきに警察は、近所に住む3人の少年を容疑者として逮捕する。
事件は終結したかに見えたが、翌年真犯人に関する通報が入る。
情報提供を受け、再捜査を始める敏腕刑事ファン・ジュンチョル。
彼は「狂犬」の異名を持つ、しぶとく熱血漢で成績優秀の刑事。
ソル・ギョングが、正義感の強い刑事を熱演して魅了される。
ファンは捜査を進め、供述や記録に不可解な点があると気付く。
あまりに杜撰で矛盾する点も多く、自白も暴力で強要されたもの。
事件に隠された秘密、警察と検察の闇を目の当たりにするファン。
スピード解決に彼らは昇進し、真相が葬られたことに愕然とする。
濡れ衣を着せられた少年たちの無罪を証明しようと、奔走する。
だが少年たちは拷問の恐怖から、自白を覆そうとしなかった。
若く無垢なる少年たちは、反抗する勇気すらないのが悲しい。
世の理不尽というには、あまりに辛く腹立たしくてたまらない。
早い段階で、警察内部にもファンのように声を上げる者がいた。
それなのに、なぜ長年が経過してしまったのか不思議だったが。
狂犬が牙を抜かれたところに人間味があり、全てが納得だった。
ファンは冤罪を主張するが、圧力をかけられ左遷されてしまう。
巨大な国家権力に対し、ファンは一度は屈してしまい絶望する。
悪人が権力を手にしたら、どれほど手強いかよく分かり戦慄。
驚くことに、真犯人まで明らかになるが自分たちのメンツ重視。
証拠の捏造に隠蔽、組織に都合の良いストーリーに仕立て操る。
無実で長年収監されてしまった少年たちが、いたたまれない。
時が経ち、かつての狂犬ファンも定年間近となったところに。
被害者遺族でありながら、再審請求に立ち上がる女性がいた。
自らの証言の重さと間違いに気付き、罪の意識に苦しんでいる。
彼女の心情を察するに、辛過ぎて悔しくて憤るばかりだった。
ファンは再び立ち上がり、少年たちの汚名を晴らすため奮闘する。
警察や検察は、あらゆる手で妨害行為に及ぶなど、とにかく卑怯。
だが17年が経過し、諦めず執念を燃やす姿が熱く感動的だった。
後半の怒涛の法廷劇は、ハラハラドキドキで見応えたっぷり。
正義と使命感に燃え、苦悩するソル・ギョングがお見事だし。
脇を固める超豪華俳優陣も、個性豊かで誰もが素晴らしかった。
特にソ・イングクくんの成長ぶり!ただのイケメンじゃない。
弾けてた頃と、心を入れ替えてからの変化に真の更生を見た。
裁判はある人物の証言で、痛快な大逆転劇となり涙が止まらない。
それぞれの想いが交錯する中、正義が報われるのは良かったが。
釈然としない部分もあり、手放しで喜べない複雑な余韻を残す。
実話として重厚で、世に問題提起している骨太な実録ドラマ。
ソル・ギョングにハズレ無し!権力の闇を焙り出す作品だった。