ミュージカルを見に行って来ました!シティ劇場にて。
こちらでは、1日限定2公演のみの上演。
ミュージカル「ヴァイオレット」
休憩なしで2時間15分という、強行突破的な構成。
無駄がないけど、さすがに休憩を入れて欲しいなぁ、と思った。
この演目はオンステージシートという、舞台上左右にも席がある。
入れ替えに時間かかるし、だからこんな構成になったのかな。
今回の席は、前から3列目センブロという超良席。
オケピはなく、舞台後方で生演奏。かなり近くで見れました。
主役のヴァイオレットはWキャストで、見たのは三浦透子さん。
生で見たのは初めてかな。すごく小柄で小さいのにパワフル。
申し訳ないが、美人とか可愛いタイプじゃないけど味がある。
演技派で、冷めた顔して情熱的に演じていて魅せられる。
歌唱力はどうかと思ったが、充分うまくて素晴らしかった。
1964年、アメリカ南部の片田舎が舞台。
幼い頃、父親による不慮の事故で顔に大きな傷を負ったヴァイオレット。
25歳になる今まで、人目を避けて暮らしていた。
彼女は13歳で怪我をして、12年間絶望の中閉じこもっていた。
だが、決意した表情でバス停に立ち、西へ1500キロ人生初の旅に出る。
あらゆる傷を癒す奇跡のテレビ伝道師に会い、傷を治してもらうため。
実際に三浦透子さんの顔に傷はなく、想像するしかないのだが。
誰もが驚いて顔を背けるほど、醜く大きな傷があるようだ。
長距離バスに揺られながら、ヴァイオレットは様々な人と出会う。
初めて外の世界に出たヴァイオレットは、多様な価値観を知る。
見た目が問題じゃない、と言う、お節介だが親切な老婦人。
それでもヴァイオレットは心を閉ざしたまま、他を受け入れられない。
伝道師に会えば、顔が美しく変わると頑なに信じている。
そして、フリックとモンティという二人の兵士と出会い旅を共にする。
一人は黒人で、時代的に人種差別に晒される厳しい現状も分かる。
アメリカの闇の近代史が分かり、時代背景が色濃く絡んでくる。
東啓介さんと立石俊樹さん、どちらも爽やかなイケメンでかっこよかった。
脇の出演者も誰もが歌がうまくて、ミュージカル場面は圧巻の迫力。
でも、ひたすらシリアスなので長尺だと疲れる。気持ちも重くなる。
ヴァイオレットの過去が蘇り、これまでの辛さと悲しみが分かる。
長い旅の過程で、ヴァイオレットは少しずつ変化していく。
モンティとそんな関係になろうとは、彼女の人生に明るい兆しが。
ついにヴァイオレットは伝道師と会うのだが、思った通り奇跡なんて・・・。
原田優一さん、若い頃はかっこ良かったけど太ってキャラが変わってきた。
貫禄が出てきたというべきか、唯一ユニークな人物を演じてた。
ヴァイオレットは父親への憎しみと恨みをぶつけ、過去を嘆く。
若い女性にとってはあまりに辛い、切なくてもらい泣きしそうだった。
三浦透子さん、涙と鼻水でぐしゃぐしゃで、迫真の演技だった。
そして、モンティと再会を果たし衝撃の選択を告げられる。
そんなヴァイオレットを待っていたフリックは、まさかの告白。
美しく変身しなくても、素のままを理解し愛してくれる人はいる。
双方がって、どんだけモテモテなんだよ、と思った。(笑)
彼女の世界が広がり、力強く立ち上がり明るい未来を予感させるラスト。
女性の自立と多様性が叫ばれるイマドキに、ふさわしい演目。
たくましく成長したヴァイオレットの姿は、とても感動的だった。
カテコに突入し早々にスタオベとなり、感動と興奮のフィナーレ。
チケット代金13500円、安くはないけど見事なパフォーマンスを楽しめた。