映画「最高の花婿」の続編。あの多国籍ファミリーが帰って来た!
前作も観賞済みで、人種の違いをユーモアたっぷりに描き、とても面白かった。
偏見と衝突を乗り越え、ひとつになった家族を揺るがす、さらなる大騒動と新たな事件。
フランス発、笑いと涙と愛が溢れる、異文化エンターテインメント。
映画「最高の花婿 アンコール」
面白かったわ~。前作の、ダークな笑いが詰まった世界観はそのまま。
人種の違いに加えて、さらにそれまで盛り込む?!と驚きました。
異文化ドタバタコメディが、ますますパワーアップしてます。
フランスのロワール地方の名家で、保守的なヴェルヌイユ夫妻。
フランス大好き、愛国心の強い、頑固な父クロードと、母のマリー。
4人の娘たちは、アラブ人、ユダヤ人、中国人、コートジボワール人と結婚。
待望の四女の子供が生まれることを楽しみにしている夫婦は、婿たちの実家を訪ねて世界を旅する。
本当は大好きなフランスから離れたくないけど、婿たちの祖国を訪問。
フランスに帰って来たー!と喜び、早速チーズにかぶりつくのが美味しそうだった~。
美食の国であるところは、間違いないですもんね。
2人が旅行から戻ってくると、新たな問題が勃発していた。
旅の感想を正直に話し、微妙な空気になるのも笑ったわ。
婿たちの国に対して、毒舌で差別発言連発!
歩み寄ろうという気持ちがあるのは分かるけど、先入観が強過ぎて。。。
本人は、もはや差別とも思っていないのか、という無神経発言。
婿たちは、普通に暮らしていてもパリで受ける異文化ハラスメントに耐えられず、海外移住を宣言。
アラブ人のラシッドは、弁護士で特定の民族訴訟ばかり。
常にテロリストだと疑われ、コートの前を留めて歩けない。
ユダヤ人のダヴィドは、起業しようとあれこれするもうまくいかない。
こんな国はウンザリだ!と、イスラエルで一旗揚げる事に。
さらに、中国人のシャオは、アジア人は狙われていると常に怯えている。
護身用に買う武器も、やはりそれですか!と笑った。
一番可笑しかったのが、コートジボワール人のシャルル。
売れない役者なのだが、インド映画を見てボリウッド・スターになることを思いつく。
ボリウッドで最初の黒人俳優になる!と、インド行きを決意。
安直だが、フランスで黒人に回ってくる役柄は決まっている、という。
それぞれ、フランスは好きなのだが、自分達の居場所じゃないと感じている。
差別、偏見に晒され続けている彼らの不満が、ついに爆発したのだった。
教会に頼まれ、ある難民の男性を屋敷に招き入れるマリーだったが。
クロードは、あの見た目で自爆テロリストだと決めつけるという、おバカっぷり。(笑)
彼らの思い込みから来る勘違いの騒動が、ユニークで滑稽だが人間味があって愉快。
クロードの仕打ちに、「フランスは難民さえ逃げ出す国」というセリフに大ウケ!
クロードたちは、娘や孫に会えなくなり、バラバラになると落ち込む。
そこで、二人は4人の婿を連れ、フランスの良さを知ってもらうための旅に出る。
ロワールの古城巡り、美しい遺跡、美味しいワインにフランス料理。
確かに、文化も、景色も食事も、フランスは豊かで素晴らしい国なんだよね。
多種多様な人種が揃うのも、それだけ多くの移民を受け入れてきたから、だし。
夫婦はあちこちで役者を仕込み、フランスの良さを猛烈にアピール。
おまけに、移住への不安を煽るようなことを、役者に言わせる作戦。
それぞれのいい点、悪い点を考え、人生を模索する夫婦たち。
人種も文化も宗教も違うが、違いを受け入れて家族となっていく。
時にぶつかりながらも、根底にある家族愛と愛国心が微笑ましくて楽しい。
そして、今作ではさらに、シャルルの妹が結婚すると言い出す。
シャルルの父アンドレは、コートジボワール愛が強く、誇り高い頑固な男。
愛国心が強いのは、クロードと同じく、なのだが、それだけに反発し合う強敵。
娘の相手が黒人だと知り、喜ぶのですが、会ってみれば実は・・・。
ネタバレになってしまいますが、LGBTへの差別と偏見まで盛り込んでいる。
人種だけにあらず、ついに性別の差まで盛り込んできたか!とウケた~。
ショックを受けるアンドレと、気の毒に思いつつも喜ぶ、腹黒のクロード。
ありとあらゆる固定概念と、差別と偏見を超えるのは、やはり愛なんだよね。
家族愛、祖国愛、夫婦愛、兄弟愛に親子愛、色んな愛が詰まっている。
違いを受け入れ、理解することの大切さ、寛容な社会の大事さ。
クロードたちの辛辣な差別発言は、先入観で凝り固まっていてオイオイ、だけど。
全てを笑いに変えて、明るく笑い飛ばしちゃおう!という作品。
そして家族になる、というホッコリな着地点に、最後まで楽しめた。
それに家族が増えるって、それだけでも幸せで素晴らしい事だよね、と思った。